濃厚な鯖の味が広がる絶品中華そばが最高に旨い

初めて訪れた時は、「鯖(さば)」の炭火焼濃厚中華そばを注文しました。待つことしばし。中華そばの丼とトッピングが別皿で登場。なぜ麺の上に具材がのっていないのかというと、「中華そばを高温に保つため」の配慮なんだそうです。
まずは中華そばだけを味わってみると、サバの濃厚な風味がブワッと鼻を抜けます。ものすごい香りに驚きます。レンゲですくってみると濃厚なポタージュ状のどろりとしたタイプでアッツアツ。その中に行儀よく並んで麺が沈んでいます。なんとも美しいビジュアルです。

スープをすすってみると、サバを丸ごと使用しているにもかかわらず、えぐみや苦味はほとんどなく、麺との絡み具合もバッチリ。食べてみると、サバのエキスがぎゅっと濃縮されていて「あ、これならトッピングなんていらないかも」と思うくらい贅沢な味です。これは永遠に飲んでいたくなる。というか、これはもう焼き鯖。サバのポタージュです。
せっかくなので、別皿のトッピングの刻み玉ネギや、炭火で炙ったネギ、海苔、チャーシューなどをちょこちょこ入れながら食べると、それぞれの香りや食感がサバのスープのアクセントとして加わり、味わいが2倍増しになります。これは楽しい!
あっという間に、食べ終わり、「和え麺」(200円)を追加することにしました。

この和え麺も、魚介の風味が濃縮されたタレとオイルが絡まり、濃厚な魚介の味わい。残しておいた「鯖」のスープをかければ、最高に美味い!
こうして初訪問の日は「鯖」を堪能しまくったわけですが、帰り際、気になったのが「定食」のこと。ここまで魚の味が濃厚な中華そばなら、絶対にご飯に合うはずだと確信。
そこで、日を空けずに再訪し、今度は「鰯(いわし)定食」(1000円)を注文してみました。焼いたイワシの代わりに、鰯の中華そばが置かれているのがなんともシュールで面白いですね。

想像していたとおり、今度は鰯のエキスが濃厚なスープです。「鯖」よりも風味が濃く、ほぼ焼きイワシを食べているような感覚になります。もちろん、ご飯にめちゃくちゃ合います。そして、こちらのご飯は、気持ち硬めで粒立ち感があり、もっちりふっくら炊いてある、好みのタイプです。

もはや高級旅館の朝食のように、旨い魚と飯・味噌汁を食べているような贅沢な気持ちになってきました。
というわけで、後日「鮭(さけ)定食」や「鯵(あじ)定食」も制覇。それぞれ魚の種類は異なりますが、素材ごとの風味を巧みに引き出す技術に感動が止まりません。もちろん和え麺も必ず注文し、魚定食をフルに満喫しています。皆さんもぜひ『倫道』に行ってみてください。かなり新感覚の中華そばですよ。
(撮影・文◎土原亜子)
●プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。