
●日本全国を仕事で飛び回るBEAMS JAPANの名物ディレクター・鈴木修司さん。尊敬してやまない『男はつらいよ』の寅さんのように、年の1/3は旅の空という鈴木さんが、旅先で見つけた「フーテンの寅みやげ」を紹介します。
今月の旅先は、岩手県の盛岡市。そして今回の旅のお土産は、竹で編まれた“蓋付きの小物入れ”です。
これは竹細工と生活雑貨を扱う盛岡の名店『ござ九・森九商店』で買ったもの。大きさに合わせて、何を入れても良いし、特に大切なものしまっておくのに最適です。雪が多く厳しい北国の生活の中から生まれた質実剛健な竹の小物入れは、見た目と使い勝手、どちらも素晴らしい名品です。
一番古いものだと20年以上は愛用していますが、使い込むほどに光沢が増す逸品。日々使うこと自体がケアにつながるので、年月が経っても傷むどころか丈夫になっているような気がしています。
竹細工の名店『ござ九・森九商店』へ

さて、盛岡といえばここ数年、欧米系の観光客に人気と聞いていましたが、私が訪れたときはどこも混んでおらず、ゆったりと街を楽しむことができました。
ちなみに盛岡は、駅前からお城、旧市街、そして繁華街まで、ぜんぶ歩いて回れて、気軽に観光や散策を楽しめるのがいいところ。古い建物や街並みも要所に残っていて、遠目には美しい山並みを眺めることもできる、かなりオススメの旅先です。
そんな盛岡でまず訪れたのは、冒頭でお話した竹細工と生活雑貨を扱う『ござ九・森九商店』。久々の訪問でしたが、相変わらず昔ながらの荒物屋さん的な雰囲気と品揃えで、やはり名店だと確信しました。

“ござ九”さんは、ただのレトロな荒物屋さんではありません。盛岡を中心とした北国の手仕事の品々を多く取り扱っているのが特徴。例えば、かつて農家で使われていた“箕(み)”と呼ばれる樹皮製の道具や、昔ながらのカゴやザルなど。ほとんどのものが実用品として販売されていて、そんな商売を続けられていること自体が素晴らしい。

ご主人の森さんとは久々の再会だったので話に花が咲きましたが、その途中で嬉しい出会いがありました。
今回、旅のお土産として挙げた竹製小物入れを、現役で作られている職人さんが、たまたま納品のために来店されたのです。ちなみにこの方、御年80歳を超えるお婆さまです。

私が長く愛用していること、今回も記念に新しく小ぶりなものを購入したことをお伝えしたら、こちらが嬉しくなるぐらいに喜んでくれました。まさかここで長年使っている竹製小物の作り手に会えるなんて、これ以上ない幸せな時間でした。








