【冬の福井グルメ旅】ソースカツ丼の超名店『敦賀ヨーロッパ軒 本店』の隠れた名物メニュー「パリ丼」とは?

【冬の福井グルメ旅】ソースカツ丼の超名店『敦賀ヨーロッパ軒 本店』の隠れた名物メニュー「パリ丼」とは?
食楽web

北陸新幹線の延伸により、福井県・敦賀まで乗り継ぎなしに新幹線1本でアクセスできようになりました。そこでこの年末、東京駅から新幹線に乗り込み3時間半、終点の敦賀駅へ行ってきました。

敦賀市民に長年愛される名店『敦賀ヨーロッパ軒 本店』へ

敦賀ヨーロッパ軒本店は、築50年以上は経つというレトロな佇まいのビルにある
敦賀ヨーロッパ軒本店は、築50年以上は経つというレトロな佇まいのビルにある

敦賀駅に到着し、市中心部へ移動。時刻はちょうど正午前後。お腹もペコペコです。まずはガッツリ腹ごしらえ、というわけで選んだのがカツ丼です。

福井のご当地カツ丼といえば、カツを玉子でとじない、いわゆる“ソースかつ丼”が有名。その発祥と言われるのがこの『ヨーロッパ軒』です。

総本店は福井市にあるのですが、ここ敦賀にも『敦賀ヨーロッパ軒 本店』があります。

一体どっちが本店なの? と不思議に思い調べてみると、1913年に創業した『ヨーロッパ軒』の創始者、高畠増太郎氏の一番弟子だった赤坂耕二氏が、1939年に暖簾分けという形で敦賀に分店を出したのがこの『敦賀ヨーロッパ軒』の始まりだそう。カツの厚さやソースも総本店とは少し異なるといいます。

昭和の雰囲気を色濃く残すテーブル席。ほかに小上がりもある
昭和の雰囲気を色濃く残すテーブル席。ほかに小上がりもある

同店が暖簾を構えるのは、どこか懐かしいレトロなビル。入り口には名物・カツ丼を求める人の行列ができていました。

店内に入るとソースの甘い香りが! 空腹の身には堪えます。これまたレトロな雰囲気のテーブル席に通されメニューを開くと、カツ丼以外にもオムライスやステーキなど気になる洋食メニューが豊富に揃っていて、こちらが長年敦賀市民に愛されてきた老舗であることが窺えます。

何はともあれ、噂のカツ丼を注文します。

こだわりのカツ丼は絶品だった!

カツが3枚のった「カツ丼」1,100円。ミニサイズなども選べる
カツが3枚のった「カツ丼」1,100円。ミニサイズなども選べる

待つこと数分、運ばれてきた丼のふたを開けると、香ばしいソースの香りとともに大ぶりのカツが3枚も! しかもカツにはたっぷりとソースが染み込んでいる様子が見て取れます。めちゃくちゃ美味しそうです。

まずはカツをひと口。サクッとした衣の食感とともに、豚肉の旨みが一気に口中に広がります。カツの余韻が残っているうちにご飯をパクリ。甘みの強いソースはご飯にもよく合います。こちらのカツ丼には千切りキャベツが入っていません。まさにシンプル・イズ・ベスト。これもヨーロッパ軒ならではの特徴なのでしょう。

ソースが染み込んだご飯。かつてはコシヒカリにもち米を混ぜて炊いていたが、現在は、少しもっちり目の福井県産米を使用しているという
ソースが染み込んだご飯。かつてはコシヒカリにもち米を混ぜて炊いていたが、現在は、少しもっちり目の福井県産米を使用しているという

「ベースとなるソースは福井の総本店と変えています。また、より甘い味付けなのが特徴。ソースはこのビルで作っているんですよ」とお店の方が教えてくれました。

一方、主役であるカツは豚肉を叩いて薄く伸ばした上で、下味は一切つけずに衣をつけて揚げるそう。こちらも総本店に比べて少し分厚く仕上げられていて、噛み応え十分。長らく敦賀で愛されてきた名物カツ丼の人気の理由を少しだけ知ることができました。

謎の料理「パリ丼」とは?

パリ丼(1,100円)はメンチカツが丼からはみ出ていて迫力満点。ご飯の量も400gとボリューミー
パリ丼(1,100円)はメンチカツが丼からはみ出ていて迫力満点。ご飯の量も400gとボリューミー

カツ丼を堪能しつつ、メニューを眺めていてふと目に留まったのが「パリ丼」なる一品です。不思議なネーミングですね。お店の人に聞いてみると、「これは当時の店主、赤坂耕二が考案した料理なんです」と教えてくれました。

聞けば、メニューの幅を広げたいと常々考えていた赤坂耕二さんがヨーロッパを旅行した際、メンチカツをご飯にのせたらどうだろうというアイデアを思い付き完成させたものだとか。

なるほど、パリ丼という名前にも納得です。悩んだ挙句、せっかくなのでこちらも食べてみることに。

メンチは、牛と豚の部位を店で挽いて挽肉を作るこだわりよう。以前は鶏肉も使用していたそう
メンチは、牛と豚の部位を店で挽いて挽肉を作るこだわりよう。以前は鶏肉も使用していたそう

そのパリ丼は、ボリューミーな2枚のメンチカツが白米の上に鎮座。カツ丼同様、揚げたての香ばしい香りとソースの香りが食欲をそそります。

店の方の説明によると、「メンチカツは牛と豚の合い挽き肉を使っています。牛肉はサーロインステーキの切れ端などを、豚肉もカツ丼で使う肉の端部分などをわざわざ挽いているんですよ」とのこと。

左が「パリ丼」、右が「カツ丼」
左が「パリ丼」、右が「カツ丼」

さっそくメンチカツを口にすると、噛み締めるたびに濃厚な旨みと肉汁がジュワ~ッと溢れ出す肉々しい味わい。急いでご飯をかきこむと、これぞ肉とお米の競演といった感じで、実に旨し!

カツ丼とパリ丼、ともにシンプルな一品ですが、それだけに歴史をも感じさせてくれる深みのある味わい。敦賀名物・ご当地丼を大いに堪能させていただきました。

●SHOP INFO
敦賀ヨーロッパ軒 本店

住:福井県敦賀市相生町2-7
TEL:0770-22-1468
営:11:00〜13:30(L.O.)、16:30〜19:30(L.O.)
休:月・火(祝日の場合は営業)