【奈良グルメ】神社も鹿も満喫できる。春日大社境内の老舗茶屋『春日荷茶屋』の魅力とは?

【奈良グルメ】春日大社境内の老舗茶屋『春日荷茶屋』でいただく名物「万葉粥」を食べてきた
世界遺産春日大社の参道沿いにある「春日荷茶屋」

●神社も鹿も名物も!奈良をしっかり堪能できる茶店をご案内します。

 奈良観光定番の一つ、世界遺産の春日大社。その境内参道沿いに、どっぷり奈良気分に浸れる茶店があるのをご存じですか?今回はその『春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)』へご案内しましょう。

 行き方は以下の通り。近鉄奈良駅から市内循環バス(外回り)で約12分「東大寺大仏殿・春日大社前」で下車し、進行方向に少し歩くと左に春日大社の参道が出てきます。参道周辺は奈良公園ゾーン。のんびり草を食べたり座り込む鹿の姿を横目に、5分ほど参道を登ると左側に見えてくるのが『春日荷茶屋』です。

春日大社の参道。進んでいくとあちこちに鹿がいます
春日大社の参道。進んでいくとあちこちに鹿がいます
こんな人懐っこい鹿もいます
こんな人懐っこい鹿もいます

 春日荷茶屋のルーツは江戸時代末期に遡ります。春日大社境内で、天秤棒で箱と茶釜をかつぎ、火吹き竹で火を起こし、参拝客に「清めのお茶」と餅菓子を振舞っていた「荷茶屋」が始まりで、江戸時代の書物にも紹介されています。

 現在は境内の萬葉植物園の隣に店舗を構え、名物の「万葉粥」を提供しています。

昭和2年に復元された天秤棒が店内に展示されています。左に火を起こす茶釜、右下に茶筒、幹上の箱に餅菓子を入れて担いでいました
昭和2年に復元された天秤棒が店内に展示されています。左に火を起こす茶釜、右下に茶筒、幹上の箱に餅菓子を入れて担いでいました

 古風なお店ですが、注文・会計は最新式です。先払い式で、入り口のタッチパネルでメニューを選び、支払いはキャッシュレスのみ。海外の方も分かりやすくて安心ですね。

 こじんまりとした店内は、4人掛けのテーブル席と、相席の長いテーブル席があります。

店内は4人掛け席と奥に相席のテーブルがあります
店内は4人掛け席と奥に相席のテーブルがあります

 食事メニューは、万葉粥をセットにした2種類と、夏季限定の素麺セットのみと至ってシンプルです。

 甘味は通年メニュー3種に季節限定のものが数種類あります。おすすめは、万葉粥と奈良名物を堪能できる「大和名物膳」1700円です。メインの万葉粥を中心に、おかず盛り合わせ、柿の葉寿司、香の物、くず餅、温かいほうじ茶が付いています。

万葉粥、柿の葉寿司、葛餅など奈良名物が色々味わえる「大和名物膳」1700円
万葉粥、柿の葉寿司、葛餅など奈良名物が色々味わえる「大和名物膳」1700円

 万葉粥は、昆布出汁と白みそで味付けされたお粥です。お米は奈良の「ひのひかり」を使用し、万葉集にちなんだ旬の野菜が添えられています。

 お粥の内容はほぼ月替わりになっていて、1月は七草、2月は大豆、3月は菜の花、夏季7・8月~9月上旬は薄茶の冷やし粥など。特別メニューとして12月16、17日の「おん祭り」限定の、のっぺい付き粥もあります。

 今回は9月中旬だったので「小芋」の粥でした。小芋はホクホク、お粥はさらりとしていて、熱すぎず、ぬるすぎず、とても食べやすい温度です。白みそと出汁のまろやかな塩味と旨味が口に広がります。

9月下旬の万葉粥は小芋。色々な季節に訪れて全種類食べてみたい!
9月下旬の万葉粥は小芋。色々な季節に訪れて全種類食べてみたい!

 続いてはこちら、柿の葉寿司です。ご飯としめ鯖を殺菌効果のある柿の葉で包んだ素朴なお寿司です。柿の葉は剥いていただきます。2個も付いているので、お粥だけでは物足りない方も満足のボリュームです。

柿の葉寿司(鯖)
柿の葉寿司(鯖)

 香の物3種の小皿には、奈良の「奈良漬け」が入っています。デザートは吉野葛を使ったくず餅で、独特の弾力性があります。季節ごとにアレンジが変わり、まだ少し残暑があった今回は、抹茶蜜がかかっていました。

天気の良い日はテラス席でお茶をどうぞ!

東屋もある広いテラス席
東屋もある広いテラス席

 店内は狭めですが、広い庭にはテラス席や東屋があり、お膳やお茶をいただくこともでき、海外からのお客さんにも人気です。柵がされているので鹿が入ってくる心配もありません。

夏季限定のグリーンティーセット。くず餅付きで750円
夏季限定のグリーンティーセット。くず餅付きで750円

 春日の森の森林浴をしながら楽しむお茶は、時間がいつもよりゆっくりと流れているようで、俗世を離れたような心地良さがありました。神社の参拝も併せて、ぜひ訪れてみてくださいね。

●SHOP INFO
春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)

住:奈良市春日野160(春日大社境内)
TEL:0742-27-2718
営:10:30〜16:30(16:00LO)
休:不定休(ホームページに案内が出ます)
https://www.kasugataisha.or.jp/ninaijyaya/

●著者プロフィール

昆屋知杜(こんやちもり)

奈良生まれ奈良育ち。地方創生食文化大使、2級フードアナリスト。約10年の東京生活を経て、鹿恋しさにUターン。趣味は美味しいお店や雑貨屋めぐり。最近は野菜の取り寄せにハマり気味。