【老舗喫茶】今も変わらぬ味を求めて。小樽の洋菓子店『あまとう』で味わう名物「クリームぜんざい」

【老舗喫茶】今も変わらぬ味を求めて。小樽の洋菓子店『あまとう』で味わう名物「クリームぜんざい」
1階は売店、2階は喫茶室

 学生時代を小樽で過ごした筆者。その当時から、観光客はもちろん、地元市民から今も愛され続けている洋菓子店『あまとう』があります。まもなく創業100周年を迎えるこちらのお店には、世代を超えて受け継がれる変わらない味がありました。

 小樽の歴史と共に歩んできた『あまとう』。今回は、当時の貴重な写真とともに常務取締役でもある柴田さんにお話を聞くことができました。

『あまとう』へのアクセスは?

 JR小樽駅から徒歩6分。小樽都通り商店街を抜けていくと、昔と変わらない場所に『あまとう』があります。

 創業は昭和4年、元ラムネ職人だった創業者が「小樽に甘くておいしいものを」という思いで『まるいち甘黨(あまとう)』をオープンしました。当時はぱんじゅうと定食屋として営業していましたが、昭和35年に2代目社長が「クリームぜんざい」と「マロンコロン」を販売。大ヒットを機に、洋菓子専門店として今に至ります。

(上)昭和11年頃の店内。(左下)83種類もあった当時のメニュー表。(右下)昔の小樽の風景
(上)昭和11年頃の店内。(左下)83種類もあった当時のメニュー表。(右下)昔の小樽の風景
当時の献立表
当時の献立表

今も地元の人々に愛され続ける変わらない味の「クリームぜんざい」

 筆者も学生時代によく食べていたのが、一番人気の「クリームぜんざい」。ソフトクリームは、卵不使用で甘さ控えめが特徴です。「水を飲まなくてもおいしく食べられる」のが特徴で、濃厚さもありながらさっぱりとした味わいが魅力です。

クリームぜんざい(S)580円。クリームしるこ、苺クリームぜんざい、しょうゆクリームぜんざいの4種類あります。Mサイズは800円~ ※いずれも取材当時価格
クリームぜんざい(S)580円。クリームしるこ、苺クリームぜんざい、しょうゆクリームぜんざいの4種類あります。Mサイズは800円~ ※いずれも取材当時価格

 使用している小豆は十勝産。毎朝丁寧に炊き上げ、出来たての餡と手作りの求肥をのせて提供しています。小豆の優しい甘さがソフトクリームにもよく合い、もともちとした求肥がアクセントに。こんなにおいしいものが65年前からあるということに驚きます。

[食楽web]
[食楽web]

「クリームぜんざい」とともにおすすめなのは「マロンコロン」。今もお土産として購入される人気商品です。

 現在も職人の手作業で丁寧に作られており、人気の味は売り切れになるほどです。「機械では決して作れず、職人の体温ではないとその食感を出すことはできないんです」と柴田常務は言います。

(手前)一番人気のアーモンド 280円。チーズやカカオ、抹茶などの種類も豊富です。三層のサブレ生地はくせになる美味しさ
(手前)一番人気のアーモンド 280円。チーズやカカオ、抹茶などの種類も豊富です。三層のサブレ生地はくせになる美味しさ

長い歴史を刻む店ならではの素敵なエピソードも

 十数年前、70代の女性が来店された際、「海外在住でもう来られないと思っていた」と話し、常務の前で涙を流されたそう。その女性は学生時代の常連で、「生きているうちにもう一度お店に行きたい」と願っていたそう。お店の歩みには人々の大切な思い出が深く刻まれていることを知り、筆者も胸が熱くなりました。

昔からほぼ変わらない喫茶室。テーブルや椅子も当時のもので。赤いビロードの椅子は製造が終了しており、修理しながら使用しているそう
昔からほぼ変わらない喫茶室。テーブルや椅子も当時のもので。赤いビロードの椅子は製造が終了しており、修理しながら使用しているそう

「従業員や地元の人に対して感謝の気持ちを持ち続けていきたい。お客様の幸せな顔を見るたびに自分も幸せを感じます」(柴田常務)。人を心から笑顔にするお店だからこそ、長く愛され続けていけるのだと感じました。

(撮影・文◎谷元こと美)

●SHOP INFO
洋菓子・喫茶 あまとう

住:北海道小樽市稲穂2丁目16番18号 小樽都通り商店街内
TEL:0134-22-3942
営:1F売店10:00~18:30、2F喫茶12:00~17:00
休:水、木曜
https://otaru-amato.com/

●著者プロフィール

谷元こと美

北海道在住、2級フードアナリスト。趣味は新しいお店の開拓です。ごはん系、麵系、スイーツまでジャンルは問わず、「気になる!」と思ったら即突撃の行動派。俳優活動もしているので演技の表現力を、グルメレポートにも活かしたい今日この頃。話題のお店や気になるお店をたくさん紹介していきます。

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