
●自動車部品メーカーが開発した気鋭の調理鍋『GRASTONE POTT』が2025年7月1日に発売されます。自動車部品メーカーが挑んだ調理鍋の実力とは?
鋳物ホーロー鍋のように料理がおいしく仕上がり、しかも軽くて焦げ付きにくい――これまでなかった新たな調理鍋が、2025年7月1日に発売されます。その名も「GRASTONE POTT(グラストーネ ポット)」。
手がけたのは、自動車部品メーカーのムロコーポレーション(本社・栃木県宇都宮市)。普段は自動車のエンジン部品などを製造する精密加工のプロフェッショナルたちが、1年の歳月をかけて開発し、完成させたのがこの「グラストーネ ポット」です。
開発の背景には自動車のEVシフトや半導体不足による生産調整といった業界の変化に対応するための新たな挑戦という意味合いがあるそうです。しかし、なぜよりによって自動車とは程遠いイメージのキッチン道具を開発するに至ったのでしょうか?
開発のきっかけは調理中の失敗

開発担当者の話によると、ある日、このプロジェクトの発案者となった社員が、自宅のキッチンで外国製の鋳物ホーロー鍋でローストビーフを作成中、ついうっかり鍋底を焦がしてしまい、奥様にものすごく叱られてしまったのだそう。
これが発端となり、鋳物ホーロー鍋の良さを活かしつつ、その弱点を克服する新たな調理鍋を生み出すべく、このプロジェクトがスタートしました。
目標は、鋳物鍋での調理と同じようにおいしく仕上がり、しかも焦げ付きにくく、軽くて使いやすい鍋を作ること。軽さにもこだわったのは、前出の社員が普段から鋳物ホーロー鍋を洗う際に重くて大変な思いをしていたからだそう。
上記目標を実現するため、「グラストーネ ポット」には、ステンレスでアルミニウムを挟んだ独自の三層構造を採用。これにより、鋳物鍋に負けず劣らずの蓄熱性と温度均一性を持ち、同時に一般的な鋳鉄鍋の半分程度の軽量化に成功。

焦げ付き対策としては、鍋肌に微細な凹凸を施すことにより、食材がこびり付きにくく、水やお湯に浸しておくだけで汚れやこびりつきがスルリと落ちる「ファインリップル仕上」が採用されています。これは、自動車部品製造で培った加工技術を応用した、ムロコーポレーションならではの特殊加工です。
万が一、鍋を焦がしてしまっても、ステンレス製たわしでゴシゴシ洗ってOK。ホーローなどで鍋肌がコーティングされた鍋だとご法度な行為ですが、それも心配ご無用、というわけです。

また、従来の鋳物鍋での調理中の“あるある”だった、「フタが熱くてミトンが必須」「調理中にかき混ぜたりするときにフタをどこに置くか悩ましい」という問題を解決すべく、熱くなりすぎない樹脂製の持ち手を採用し、さらに縦に自立させられる構造になっています。
一般的な鋳物ホーロー鍋の場合、洗剤で洗った後シンクから、腰を入れて「よっこらしょ」と持ち上げる必要がありましたが、今回、筆者も「グラストーネ ポット」に触れてみて、片手でも余裕で持てるほど軽いのに驚きました。これなら、日常で気軽に使えて、活躍する場面が増えそうです。
名シェフも認めるその実力

製品発表会は、南青山にあるイタリアンの名店『リストランテ アクアパッツァ』で行われたのですが、現場では“シェフが休日にランチに作りたい料理”をコンセプトに、同店の日髙良実シェフが「グラストーネ ポット」を使った調理デモを披露してくれました。

日髙シェフが作ったのは、トスカーナの郷土料理「パッパ・アル・ポモドーロ」。硬くなったパンを水に浸し、トマトソースで煮込む素朴ながら滋味深いパン粥です。


「10〜15分煮ると、トマトの水分がしっかり飛んで旨味がぎゅっと凝縮されます。この鍋は温まりが早く、火を止めても“ふつふつ”が続く。保温性の高さに驚きました。しかも軽くてすごく扱いやすいですよね」と日髙シェフ。
今回、日高シェフはこの「パッパ・アル・ポモドーロ」をソースにアレンジ。これをケンサキイカとワラサのソテーにかけた一皿を作ってくれました。

「グラストーネ ポット」は、煮込み料理はもちろん、炒め物の調理にも遺憾なく力を発揮します。イカは鍋底にくっ付きやすい食材ですが、前述のファインリップル仕上により、焼け付く心配もなし。見ていて安心&心地よいです。

炊飯・炒め物・煮込みまで、一台で何でもできる万能性

実は、『GRASTONE POTT』は炊飯や無水調理にも対応しています。熱が均一に入るので、ふっくら感とモチモチ感のバランスが良く炊き上がり、さらに鍋肌にお米がへばりつくこともなく、ストレスフリーでするっと盛り付けられるのも魅力。

余談ですが、「グラストーネ ポット」で作るチャーハンも絶品だそう。蓄熱性・温度均一性に富んでいるため、鍋を振ることなく、かき混ぜるだけでおいしいチャーハンができてしまいます。

また、「グラストーネ ポット」は本体とフタの密閉性を活かした無水調理も得意。素材のおいしさと栄養素を余すことなくいただけるのは何より嬉しいことですよね。
日々の料理に寄り添ってくれる、まったく新しい調理鍋「グラストーネ ポット」。今年、要注目の逸品です。
(撮影◎五十嵐一晴、文◎亀井亜衣子)
●DATA
GRASTONE POTT 20(内径20cm・深さ9.1cm・2.8L):2万2990円
GRASTONE POTT 22(内径22cm・深さ11.8cm・4.5L):2万4990円(共に税込)
カラー:クラックペッパー、ルミナスイエロー
発売日:2025年7月1日(火)
https://grastone.jp