掛川市の名店『麺屋さすけ本店』へ

今回のオススメ店は、掛川市の『麺屋さすけ本店』。このお店、名実ともに掛川市を代表するラーメン店にして、静岡県内でも指折りの実力店だ。
店の魅力をご紹介する前に、静岡県のラーメンマニアは、おしなべて「限定メニュー」が大好きだ。お気に入りの店舗を数軒抱え、それらの店舗を巡回しながら、各々の店の「限定メニュー」を食べ歩くことを日課にしている人も非常に多い。
そんな静岡県のマニアの“限定メニュー愛”に応えるため、静岡のラーメン店の多くは常に何らかの「限定メニュー」を用意している。静岡県のラーメン店を訪れた県外のマニアが「限定」の多さに驚愕する光景は、もはや日常的。それほど、今の静岡ラーメンシーンは「限定メニュー」と密接不可分だ。
もちろん、「限定メニュー」を追い求めるタイプのマニアは、静岡県以外にも一定程度存在するが、静岡県マニアの「限定メニュー」熱は、その範疇(はんちゅう)を大幅に上回る。いわゆる「限定メニューハンター」とでも言うべきマニア層が中核となって、同県のラーメンシーンを支えているのだ。
『麺屋さすけ』は、そんな静岡県マニアの「限定メニュー」に対する渇望を敏感に汲み取り、多種多様な「限定メニュー」を積極果敢に提供し続けている。そんな食べ手に寄り添う姿勢も、同店が大勢の地元マニアから支持される理由のひとつだろう。
さて、そんな『さすけ』が提供するレギュラー麺メニューは、「地鶏そば」、及びそのバリエーションである「地鶏焼豚そば」及び「地鶏雲吞焼豚そば」など。

「地鶏雲吞焼豚そば(醤油)」は、地鶏の煌びやかなうま味を極限まで引き出したスープから、麺肌なめらかな自家製麺、丁寧な調理の跡が垣間見えるトッピングに至るまで、あらゆるパーツの完成度が極めて高く、このタイプの1杯を食べ慣れている私でさえ、良い意味で驚きを禁じ得なかった。
奇をてらうことなく、「鶏」という素材の魅力を真正面から表現しようとする姿勢に、心動かされないラーメン好きはいないだろう。巧みな麺茹でによるしなやかな食感が演出された自家製麺など、どことなく「神奈川淡麗系」を想起させる構成にも、マニア心がくすぐられる。
いま、日々『さすけ』へと足を運び続ける多くの静岡県のマニアも、きっと、紡ぎ出される1杯から垣間見える作り手の心意気に惹かれ、同店のファンになったのではないだろうか。
●SHOP INFO
麺屋さすけ本店
住:静岡県掛川市中央3-12-2
TEL:0537-25-7710
営:9:00〜14:00
17:00〜21:00
休:木曜
カウンター16席/駐車場17台あり
●著者プロフィール
田中一明
フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店開拓・知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンをエリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。