【フーテンの寅みやげ】三重出身のBEAMS名物ディレクターが伝授する伊勢・松阪の食べ歩き方

伊勢のうなぎと名居酒屋を堪能

新幹線から望む富士山はいつ眺めても良いもの。東京から伊勢までは乗り継ぎがスムーズにいけば3時間半もかからずに到着できる
新幹線から望む富士山はいつ眺めても良いもの。東京から伊勢までは乗り継ぎがスムーズにいけば3時間半もかからずに到着できる

 見どころ満載の三重県ですが、“空港のない県”としても知られています。空からのアクセスができない分、陸路で移動しやすいのが三重県の特徴。

 東京からの移動手段としては新幹線と近鉄電車(特急)を乗り継ぐ必要がありますが、関西からは交通至便。大阪・名古屋はもちろん、意外に知られていませんが、京都や神戸とも電車(近鉄とJR)と高速道路の両方で繋がっています。

 電車の車窓から伊勢湾沿いに拡がる平野をのんびりと眺めながらの旅路はなかなかの風情です。

伊勢市駅から一足出れば、そこはすでに外宮(伊勢神宮)参道
伊勢市駅から一足出れば、そこはすでに外宮(伊勢神宮)参道

 伊勢と言えば、何をおいても伊勢神宮――通称「神宮」へのお参りが欠かせません。周知の通り、内宮と外宮を中心に数多くの神社が市内に点在しています。年間を通して神宮に関わる行事も多く、伊勢の街そのものが聖地といった雰囲気。

 参拝を済ませたら、お待ちかねの腹ごしらえです。

伊勢のうなぎは格別の旨さ

『喜多や』のうなぎ丼
『喜多や』のうなぎ丼

 実は三重県は“鰻どころ”。県庁所在地の津をはじめ、松阪や伊勢にも鰻の名店が数多くあります。松阪生まれの私にとっても鰻は特別で、勝負飯のひとつ。スタミナがつくのはもちろん、気持ちまで上がります。

 この日は、伊勢市にある鰻の名店『喜多や』さんへ伺いました。お店の雰囲気もさることながら、この地域でも珍しいタレをまぶし込んだご飯は感動レベルの旨さ。見た目よりもあっさりしているので、ペロリと完食できると思います。

●DATA
喜多や

住:三重県伊勢市本町10-13
TEL:0596-28-3064
営:11:00〜17:00(16:00LO)
休:木曜(祝日の場合は営業)

伊勢の老舗居酒屋『一月家』で一献

店内に裏返しにかけられた暖簾が、また良い酒の肴
店内に裏返しにかけられた暖簾が、また良い酒の肴

 夕食は、私が若い頃から通っている『一月家(いちげつや)』さんへ。大正3年創業、伊勢を代表する名居酒屋です。夕方前に入店したのですが、さすが人気店ですでに満席に近い状態でした。

敬愛する居酒屋探訪家の“太田和彦”さんが“日本三大居酒屋湯豆腐”と認める一月家の名物「湯豆腐」
敬愛する居酒屋探訪家の“太田和彦”さんが“日本三大居酒屋湯豆腐”と認める一月家の名物「湯豆腐」

 店の名物料理は「湯豆腐」とサメの肉を干した「さめたれ」。それ以外のオススメは「しび刺身」と「ふくだめ」。聞きなれない名前の料理ばかりだと思いますが、一体どんな料理なのかは行ってのお楽しみにしてください。

サメの肉を干して作る伊勢地方の名物「さめたれ」は地酒と相性抜群
サメの肉を干して作る伊勢地方の名物「さめたれ」は地酒と相性抜群

 ちなみに、近年は地元の人だけでなく、他府県からも『一月家』を目当てに多くのお客さんが詰めかけているようです。ご主人によると、最近はお客さんが多過ぎて暖簾を外に掲げる余裕もなく日々営業しているとのこと。

 とはいえ、伊勢ならではの逸品料理と旨い地酒が味わえて、しかも常連客とご主人が織りなす独特の空気感がたまらなく良いので、繁盛するのも納得です。常に混雑していますが、伊勢にお越しの際はぜひ訪れてみてください。

●DATA
一月家(いちげつや)

住:三重県伊勢市曽祢2-4-4
TEL:0596-24-3446
営:14:00〜22:00
休:水曜