すっぱい水ようかんはレモン以上にレモンな存在感

お父さんのお寿司をいただいたので期待を高めつつ、娘さん会心のすっぱい水ようかん(レモンパンチ)もいただきました。
こちらの水ようかんは平箱に流し込まれた、いわゆる1枚流しという製法でヘラで切っていただきます。一口食べてみると思わず顔が「キュッ」となる酸っぱさ。そして酸味がスッと去った後、自然な甘さがやってきます。

食感は全体としてはツルッとしていてのど越しがいいのですが、舌の上にかすかにザラリと残る白あんの存在感が水ようかんのアイデンティティーを主張しています。
筆者は甘い物がけっして嫌いなわけではないのですが、果物などは甘いよりも甘酸っぱい方がおいしいと思っています。近年の甘いスイーツでは満たされない、ちゃんと酸っぱくてちゃんと甘い、甘酸っぱさが力強く共存している水ようかんとなっていました。

こたろう和では水ようかんだけでなく通常のようかんも販売。ようかんをキューブ状にカットし「キュベ」というシリーズも展開しています。
こちらはすっぱい水ようかんとは対照的に、濃厚な甘さが特徴的なキャラメル味で、お店でキャラメル作りから行っている本格派。ズッシリと重めの味わいが何とも印象的。しかし、こちらもただ甘いだけでなく、隠し味的な塩の働きで後味はスッキリ。思わず手が止まらなくなる味わいです。

ほかにも国産ベルガモットのアールグレイ味の水ようかんも。アールグレイは紅茶葉に柑橘類であるベルガモットの精油で香り付けした紅茶ですが、それをわざわざ紅茶とベルガモットを2層に分割しています。
一緒に食べると口の中でアールグレイになるというこだわりっぷり。ベルガモットの爽やかさが際立つ一品となっています。
ロックな血筋とユニークな商品開発秘話
![若干いかつい外見だけどすぐ笑顔になるお父さんから続くこだわりと血脈 [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/01/ead4e82e355459077dc44093826aff44.jpg)
尋常ではないこだわりを感じたこたろう和さん。お寿司担当の野間さんパパは、そのまたお父さんから「流行りものはNG」というロックな教育を受けて育ち、「世間にない物、ほかにはない物を作りたい」というモットーが娘さんにも受け継がれていています。
酸っぱい物好きも遺伝し、「酸っぱいようかんを作りたい!」という信念が今回の商品誕生のきっかけだそう。
しかし、ようかんを作る際に酸性の強い食材は凝固を阻害する作用があり、化学的に相性が悪いそうですが、逆境になるとやる気が燃える野間さん親娘。科学薬品には目もくれず、レモンもエコ農産物の認定を受けた和泉市の四季盛農園の「エコ・檸檬」を使用し、3年以上の試行錯誤を経て完成させたそうです。
今回味わった水ようかん、福井県などでは今でもこたつに入って食べる冬の風物詩的な存在として認識されているそう。この冬は「真っ当なおいしい物を作りたい」という、こたろう和の信念の詰まった“すっぱい水ようかん”とお寿司をぜひ味わってみて下さい。
(撮影・文◎けいたろう)
●SHOP INFO
店名:こたろう和(のどか)
住:大阪府大阪市阿倍野区万代1-6-2
TEL:070-8553-4503
営:11:00~18:00(お寿司は完全予約制)
休:月・火曜
https://www.instagram.com/kotaronodoka/
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。