レモンと水ようかんと季節の意外な関係性

お目当ての商品を買う前に、商品開発の裏話などをお聞きしました。ちなみにお寿司の担当は野間龍寛さん、ようかんの担当は野間のどかさんで、野間さん親子で営んでいます。
話を聞いてみてまず驚いたのは、水ようかんというのは本来、冬の食べ物ということ。そもそも水ようかんは一般的なようかんより加熱の工程を減らして水分量を増やすことで、ツルリとした食感を持たせた食べ物で誕生したのは江戸時代。

現在のように保存料や冷蔵保存のない時代なので、保存の効く冬限定の食べ物で、おせち料理のデザート的なメニューという立ち位置として誕生した側面もあるそうです。
さらにレモンも夏の印象がありますが一般的な柑橘類と同じく冬が旬。レモンの水ようかん、実はどちらも冬こそ旬の食べ物なんですね。
素朴だけどおいしいお父さんのお寿司

こたろう和はお寿司のお店でもありますが、店頭を見てもお寿司要素はほぼ皆無。というのもお寿司もようかんも店内で手作りしているため、それぞれ作る工程を完全分離し、お寿司は完全予約制となっているそうです。ちなみにお寿司は江戸前のにぎりではなく、押し寿司や巻き寿司などのいわゆる大阪的なお寿司。

お父さんのシンプルな巻き寿司を一口食べると、素朴でおばあちゃんが昔作ってくれたような懐かしい味わい。それでいて地味で控えめという感じではなく、個性がしっかり発揮しています。
中の具材は干瓢や高野豆腐など昔ながらの具材ですが、それぞれ主張があり、味と食感がしっかり感じられます。
海苔とシャリはかなり優しく、「巻き寿司は数時間寝かせた方がおいしい」というお父さんの言葉通り、時間が経って海苔の旨味が移ったシャリが存在感ある具材を包んでいて、全体として絶妙のバランスとなっています。

つぎに海老の玉子巻きのお寿司は、中のメイン具材はプリッとしたエビなのですが、そこに紫蘇の爽やかな苦みがいいアクセント。それをふんわりと薄焼き玉子が包み込んでいます。
誤解を恐れずに言うと「家で手巻き寿司をしていて偶然できた会心の一巻き」を最大限においしくしたような味わい。いい意味で手作り感があってクセになる巻き寿司でした。