まさに黄金比なタンドリーチキンに感激

無事に注文を終え、待つこと数分、やってきたのがコチラ。お皿には野菜とチキン、それに加えてパンがのっています。何と言うか、想像していたタンドリーチキンとかなり違う姿の料理が登場しました。しかし、ものすごく美味しそう。ここはあれこれ考えず、まずはいただいてみましょう。
このタンドリーチキンと対峙して、まず感じたのは爽やかな野菜の香り。実際、パッと見ただけでも、小松菜や玉ねぎ、カボチャなど、ものすごくたくさんの野菜がのっていて、どこから食べていいのか少し迷います。

そうは言っても、チキンへのアクセス確保のために野菜から手を付けるのが正解だと思うので、まずは小松菜からいただくことに。塩とごくシンプルなスパイスで味付けされた小松菜は、特有の香りとシャキッとした食感がいい具合に残っていて絶妙の塩梅。
小松菜の覆いがなくなったので、次は本命であるチキンをいただきます。鶏もも肉のようです。そしてタンドリーチキンは骨付きが当たり前だと思っていましたが、骨は付いていません。ナイフとフォークだけで手を汚すことなく食べられるので、これは嬉しい。
![イメージしていたタンドリーチキンと全然違うビジュアル[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/10/a33c2bed11f7d50e9fe51ae13184d792.jpg)
チキンをナイフでカットして食べてみると、余分な油は皆無。食べごたえのある食感ながら、しっとりジューシー。またスパイスも、街のインド料理店のタンドリーチキンと違ってシンプル。
簡素ではありますがスパイスで調味され蒸気式オーブンで蒸し焼きにされた鶏肉は、確かに、かなり広義の意味ではタンドリーチキンという定義の範疇に収まるのでしょう。ともかく鶏肉本来の美味しさがしっかりと味わえる、非常に美味しい鶏肉料理であることは確かです。
いつの間にか野菜の魅力にハマっていく

チキンをひと口食べたので、今度はまた野菜に戻ります。カボチャはホクッとした食感とほのかな甘みにスパイスが絶妙にマッチ。ウマい! こうして野菜を一種類食べるとまたチキンをひと口、そして次の野菜へ。このあたりから、何となく野菜の美味しさに夢中になってきた筆者。
野菜を食べてチキン、また次の野菜を食べてチキンと、チキンを中心にして次の野菜、次の野菜と食べ進めていくうち、最初は見えてすらいなかった長芋やカブなども発見。気がつくと野菜の美味しさにどんどん魅了され、途中からは「むしろ野菜の方がメインなのでは?」と思ってしまったほど。
この辺まで来ると、野菜にこだわる名店の京料理を食べているような錯覚にすら陥ってきます。最初、インド料理屋さんだと思っていたお店が実際にはフレンチレストランのようで、さらにそれを経て、結局は京都まで戻ってきたわけです。すごく不思議な感覚です。

ちなみにお店の名前である“セクションドール”というのは、フランス語で“黄金比率”のこと。お店のロケーションから料理の内容はもちろん、タンドリーチキンという料理名と実際に供される料理とのミスマッチに至るまで、何から何まで、シェフの計算し尽くしたこだわりの黄金比率に満ちています。そういった意味では、恐ろしいお店です。

こちらのタンドリーチキンには、パンが付いています。特にソースはないのですが、野菜とチキンからわずかに出た水分をパンですくい取って最後に食べると、これまでの野菜とチキンの旨味を全部吸収した、究極に美味しいパンになっていました。
この計算され尽くした不思議な一皿、ぜひ実際に味わって体験してみてください。お店がある岡崎エリアは自然が豊か。春は桜、秋には紅葉も見事な場所なので、京都の行楽旅行の際の食事にもオススメです。ちなみに、飛び込みも一応、可能ではありますが、予約がほぼ必須と考えておくのが吉です。
●SHOP INFO
店名:セクションドール(Section D’or)
住:京都府京都市左京区岡崎西天王町84-1 M&M’s APARTMENT 1F
TEL:075-752-2249
営:11:30~15:00、17:30~21:00
休:火曜
アクセス:京都市営地下鉄・東山駅、京阪電車・神宮丸太町駅からそれぞれ徒歩9分ほど
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。