【絶滅寸前!? 昭和メシ】vol.1 町中華で見つけた80歳のおばあちゃんが作る究極の餃子『萬新楼』

メニューは80歳のおばあちゃんが作る絶品餃子のみ

おかあさんは現在80歳
おばあちゃんは現在80歳

 カウンターの奥の厨房から、おばあちゃんが笑顔で迎えてくれます。おばあちゃんは現在80歳。体力的にきつくなったこともあり、今ではメニューは餃子1点のみです。それでも毎日店を開け続ける理由は、「何もしないとボケちゃうからね」と、昭和感たっぷりのジョークが焼けた餃子によく合います。

限られた時間が愛おしい
限られた時間が愛おしい

「お昼時にやって混むとしんどいから」と話すおばあちゃん。営業時間はわずか13:30から18:00まで。この限られた時間にだけ味わえる昭和の風情、特別感が堪りません。

 餃子は、なんと30年以上値上げしていない驚きのジャンボサイズ。「ギョーザ定食」は、さらに驚きの価格。餃子にご飯にお味噌汁にお新香、そして焼きたての目玉焼きまでついて500円という信じられない価格です。皮から手作りされる餃子は、外はパリッと香ばしく、中にはニラ、キャベツ、ニンニクがぎっしり詰まっています。一口頬張ると、香ばしい香りとともに、じゅわっと広がる肉汁。まさに、昭和の味そのものです。

時代を越えた人情と変わらぬ日常

インバウンドを意識したと思われる英語メニューも
インバウンドを意識したと思われる英語メニューも

 おばあちゃんに「食べログで5をつけている人が多いですね」と伝えると、「なんだかわからないけどありがたいねぇ」と控えめに微笑みます。その姿に、時代を越えて受け継がれてきた人情が垣間見えます。

 日常の何気ない一瞬に、昭和の情景が広がります。この町中華は、ただの料理店ではなく、人々の思い出とともに続いてきた時代の象徴でもあるのです。

「値上げしてもいいから、ずっと続けてほしい」。そんな気持ちで、おばあちゃんの作った餃子を頬張ります。

「うーん、これは瓶ビールが必要だ」

 このお店が昭和から令和に至るまで、時代を越えて続いてきたことに感謝しながら。

 次回もまた、昭和の文化を感じさせる一軒を訪ね、時代の宝物を探しに出かけます。どうかお楽しみに。

●SHOP INFO
萬新楼

住:神奈川県横浜市神奈川区神之木町14-6
tel:045-431-8625
営:13:30〜18:00
休:金

●著者プロフィール
鈴木英司

某IT企業役員 
1977年横浜生まれ。
普段はデジタルを追い、土日は未だドアを開けたことのないお店を訪れ昭和へのタイムリープの扉を探す。好きな場所は路地裏。

(編集◎ヨネダ商店)