
●ランソンの最高醸造責任者であるエルヴェ・ダンタン氏が語る「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」の魅力とは?
忘年会や新年会をはじめ、現在パーティーシーズン真っ只中。ハレの席に華を添えてくれるお酒の筆頭と言えば、やっぱりシャンパーニュですよね。せっかくなら普段よりちょっと背伸びして、極上のシャンパーニュを味わいたいもの。
そんなシーンにうってつけなのが、フランス・シャンパーニュ地方の街、ランスにある英室王室御用達の老舗メゾン『ランソン』がつくる最高峰のシャンパーニュ「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」です。
今回、ランソンの最高醸造責任者であるエルヴェ・ダンタン氏に話をお伺いする機会を得ることができたので、ランソンのシャーパーニュづくりについてのこだわりや信条、さらに「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」について、さまざまなお話を伺いました。

伝統的な製法を守り、長期熟成により生み出されたシャンパーニュはまさに“至高”
――ランソンの創業は1760年にまで遡りますが、260年以上もの長きにわたり「守り続けてきたもの」を教えてください。
エルヴェ・ダンタン氏(以降、ダンタン氏):長い歴史の中で変わらない最大の点は「シャンパーニュづくりのスタイル」です。シャンパーニュ地方の伝統的なスタイルにのっとり、「マロラクティック発酵」※と呼ばれる瓶内二次発酵を行っていません。これがランソンのシャンパーニュの最大の特徴であり、他のメゾンではなかなか真似できない方式だと思います。
※醸造の過程で、アルコール発酵に続いて起こる反応で、ワイン中のリンゴ酸をよりまろやかな酸味の乳酸に変えること。主に二次発酵として行われる。
――時代とともに変化(進化した)点はありますか?
ダンタン氏:私の仕事はアッサンブラージュ(ウイスキーで言うブレンディング)ですが、よりよい形のアッサンブラージュを追求し続けることが私の使命だと考えています。そのためには、リザーブワインの知識はもちろん、リザーブワインの管理、持続可能な自然な土壌(畑)の管理、テロワールの熟知などが不可欠。さらに現代のお客様がシャンパーニュに何を求めているかなど、マーケットの要求に柔軟に対応するために日々進化を続けていると考えています。
――「マロラクティック発酵を行わない」点について詳しくお願いします。
ダンタン氏:マロラクティック発酵を使う、使わないは各メゾンのスタイルであり、どちらの方が良いシャンパーニュができるかというものではありません。大事なのはいずれの製法でも良いものも悪いものもできるということ。マロラクティック発酵を使えば短期間でまろやなか味に仕上がるため、完成するまでの時間が節約できますが、ランソンはそのスタイルを取らず、伝統的な製法で時間をかけてシャンパーニュづくりを行う道を選んだのです。
その一番のメリットはぶどうが持っている「爽やかさ」が長期間保たれる点。しっかりとしたボディはあるものの、軽やかで爽やかな仕上がりになります。ゆっくりと時間をかけて熟成させていくので、ぶどう本来の爽やかさが保たれつつ、時間とともに強化されていくというわけです。
――気が遠くなるような作業ですね。
ダンタン氏:そうです。当然、リリースするまでの年数は長くなってしまうし、携わる人間には辛抱強さが必要になります。
――今回紹介する「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」シリーズですが、数あるシャンパーニュの中でどういう位置付けなのでしょうか?
ダンタン氏:「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」シリーズが誕生したのが1979年。従来リリースしていたシャンパーニュよりも上のラインを作ろうというのがきっかけでした。ランソンの柱となるスタイルはきっちり守りつつ、優雅さや上品さ、フレッシュな味わい、華やかさなど、全てにおいて上のレベルを目指したのです。「ノーブル」という言葉には「気品がある」「品格がある」という意味がありますが、それにプラスしてフランスでは「尊敬に値する」という意味も込められています。
グラン・クリュの中でも最高クラスのぶどうのみを使用した「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」

――今回は2本の「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」をご紹介いただけるということですが、最初に「ノーブル・シャンパーニュ・ヴィンテージ・ブリュット 2004」の特徴を教えてください。
ダンタン氏:シャルドネとピノ・ノワールの2種類のぶどうをアッサンブラージュしていますが、ぶどう畑もワンランク上の畑(グラン・クリュ)のものだけを使用しています。シャルドネに関しては、コート・デ・ブランにある5つの村で獲れる、それぞれ個性の異なるグラン・クリュのぶどうを厳選。ピノ・ノワールはベルジュネにあるグラン・クリュのぶどうを厳選しています。「ヴィンテージ・ブリュット 2004」に不可欠なのが、このベルジュネで獲れたピノ・ノワールで、フレッシュさと上品さに加えて、リッチ感のある味わいを出してくれます。
――最高クラスのぶどうをアッサンブラージュしているわけですね。
ダンタン氏:シャルドネは軽やかかつ華やかで味わい深い香りの要素があります。対してピノ・ノワールは果皮や果汁が濃い果物のニュアンスがあり、またスパイスのニュアンスも感じられます。2つのぶどうがお互いにない要素を補完しあって、絶妙なハーモニーを生み出すのです。

――なぜ2004年というビンテージを選んだのでしょうか?
ダンタン氏:その年のぶどうの出来が良かったというのはもちろんですが、2004年から熟成させてきたこちらのシャンパーニュがもっとも良い状態に仕上がっているのが「今」だからです。18年間、テイスティングを続けてきた結果、ようやく皆さんにお披露目できると判断しました。

――「ノーブル・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン 2004」についてはいかがでしょうか?
ダンタン氏:基本的なアプローチや考え方は「ノーブル・シャンパーニュ・ヴィンテージ・ブリュット 2004」と同様ですが、「ノーブル・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン 2004」ではピノ・ノワールを使わず、5つの村のグラン・クリュでとれたシャルドネのみを使用しています。これらの畑は石灰質のため、ミネラル分を強く感じることができるのが特徴です。また、よりピュアなシャルドネの香りにプラスして、白い果物を砂糖で煮詰めたような香りやドライフルーツのような香りも楽しめます。こちらも18年間熟成期間を設けています。
2本の新たな「ランソン・ノーブル・シャンパーニュ」に合う料理とは?

――まさにランソンのシャンパーニュづくりの真髄を体現したシャンパーニュですが、どういった料理にマッチするとお考えですか?
ダンタン氏:順番が逆になりますが、「ノーブル・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン 2004」は、海洋性の石灰質土壌で育ったシャルドネを使用しているため、合わせる料理によっては、ヨード香や海藻、貝殻などのニュアンスが出てきます。ですから基本的には魚介類を使った料理に一番合うと思っています。例えばクオリティの高い刺し身、フランス料理であれば、ホタテを薄くスライスしてレモンのソースをかけた料理や、白身魚を爽やかなソースでいただく料理などとも相性が抜群です。
一方、「ノーブル・シャンパーニュ・ヴィンテージ・ブリュット 2004」の場合は、ピノ・ノワールが持つスパイス香やしっかりとした骨格を楽しめる料理がオススメ。魚介類全般はもちろん、前者に比べるともう少し幅広い料理に合うと思います。例えば天ぷら、鶏肉や雉、鴨、ホロホロ鳥、さらに仔牛の肉を網焼きにした少し重めの料理にもマッチすると思いますよ。
――ありがとうございます! 最後に読者へメッセージをお願いします。
ダンタン氏:皆さんにはぜひシャンパーニュ地方へ来ていただいて、これが本場のシャンパーニュのフレッシュな味わいなのだということをぜひ体験して欲しい。その上で、品格がワンランク上の「ノーブル・シャンパーニュ」の味わいを知っていただきたいと思います。今の時代、我々は世界中のさまざまな料理を楽しみながら生きています。シャンパンはどんな料理にも合う。つまり「シャンパンを楽しむためにこの世界がある!」と言っても過言ではありません(笑)
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自分の子どもに向けるような優しい表情で、シャンパーニュについて真摯に語ってくれたエルヴェ・ダンタン氏。「ノーブル・シャンパーニュ」シリーズは、老舗ランソンが、長年シャンパーニュづくりに向き合ってきた結晶とも言える極上の一品。こちらのシャンパーニュで乾杯すれば、ワンランク上のパーティになること間違いなしですよ。
(撮影◎植野 淳、取材・文◎室井康裕)
●DATA

商品・価格:
・ノーブル・シャンパーニュ・ヴィンテージ・ブリュット 2004 参考小売価格2万5000円(税抜)
・ノーブル・シャンパーニュ・ブラン・ド・ブラン 2004 参考小売価格3万円(税抜)
お問い合わせ先:
アサヒビール株式会社 お客様相談室:TEL:0120-011-121(平日10:00~16:00 ※12:30~13:30は休止)
※飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。