お客様の要望から誕生した「ドリア」!

実は、ドリアは日本発祥。その考案者は、1927年の『ホテルニューグランド』開業の際にパリから招かれた初代総料理長のサリー・ワイル氏。宿泊者から「体調が良くないので、何かのど越しの良いものを」との要望を受けて、バターライスに海老のクリーム煮を乗せ、グラタンソースにチーズをかけてオーブンで焼きあげ提供したそうです。その後レギュラーメニューになり、ホテルの名物料理の一つになったそうです。

ひと口味わうと、その味わいの深さと具の多さに驚きます。当時は、シュリンプドリアでしたが、後に帆立も加わりシーフードドリアとなりました。味わいの深さの秘密はソース。実は、ベシャメルソース、ニューバーグソース、オランデーズソースの3種類のソースが使われていて、深みがありコクのある美味しさに仕上げられています。
ベシャメルソースなどの基本レシピは当時のままで、時間をかけて丁寧に作られています。お客様を思い作り上げた料理が、日本全国に広がり受け継がれているのは素敵ですね!
米兵の食べ方をホテル流にアレンジした元祖「ナポリタン」

終戦後7年間GHQ将校の宿舎として接収されていた『ホテルニューグランド』。諸説ありますが、2代目総料理長の入江茂忠氏が、当時の米兵が軍用保存食のスパゲッティとトマトケチャップを和えて食べているのを見て、ホテルメニューに相応しく生のトマトとトマトペーストで作ったソースに玉ねぎやハムを合わせ作り出したのがナポリタンの始まりとされています。つまりこのホテルは、ナポリタンの発祥でもあるんです。

アルデンテではなく、もちもち食感が嬉しいナポリタン。もちもちの秘密は、茹でた麺を流水で引き締めオイルにまぶしてから一晩寝かせることだそうです。寝かすことにより、もちもち食感になるそうです。程よい酸味のソースと、もちもちの麺の相性はぴったりで大満足の美味しさです♪
器も発祥の「プリン・ア・ラ・モード」

そして「プリン・ア・ラ・モード」もニューグランド発祥と言われるメニュー。GHQに接収されていた7年間、宿泊していたのは進駐軍の将校と夫人方々。ホテル内のボールルームでは、アメリカから送られてきた最新の映画が上映され、まるで外国のような特殊な場所でもありました。
そのため当時のパティシエが、デザートもボリュームあるアメリカのデザートに負けないように、別々で出していたプリンとアイスクリームに、アメリカから送られてきた缶詰の果物などを加え“コルトンディッシュ”という別の料理に使っていた器に盛り付けて提供しました。将校夫人にも大変好評で、「プリン・ア・ラ・モード」と呼ばれるようになったそうです。

黒猫も大好きな「プリン・ア・ラ・モード」。全卵使用の固めのプリンとアイスクリーム、添えられるフルーツは、りんご、チェリー、キウイ、プルーンなど。お話を聞いたところ、フルーツの種類は当時と変わらないそうです。当時これだけのものを作り上げ進駐軍の将校に提供したパティシエの矜持を感じます。
『ホテルニューグランド』発祥と言われる3つのメニュー。ぜひ味わってみてくださいね。
●SHOP INFO
店名:ホテルニューグランド コーヒーハウス ザ ・カフェ
住:神奈川県横浜市中区山下町10番地
TEL:045-681-1841
営:10:00~21:30(L.O.21:00)
休:なし
●著者プロフィール
ミスター黒猫
カフェ・純喫茶・パンケーキ・スイーツの店を年間1000店以上訪問。特にパンケーキは雑誌で「日本一パンケーキを食べる男」と紹介される。SNSで8万人を超えるフォロワーに毎日情報発信のほかに、テレビ・ラジオ・webメディアでも活躍中。
Instagram:https://www.instagram.com/mr_kuroneko/