濃厚なソースで普遍性を忘れない優等生!『吉野家』の「牛カレー」

まずは『吉野家』の「牛カレー」から。吉野家では近年特にカレーに力を入れているようで、昨年秋に登場した「牛カレー」も厳選素材と、相当な技術を投入して完成した一品という印象です。
カレーソースは吉野家のカレー史上過去最多となる量の玉ねぎを使用し、従来の2.5倍の量が入っているそうです。このカレーに、お馴染みの牛丼のアタマをのせたものが「牛カレー」です。さっそくいただいてみます。

照りのあるカレーソースは、大量の玉ねぎのおかげか、甘味が強いうえ、ルー全体にもコクがあります。しかし、強烈なパンチを感じるほどではなく、あくまでシンプルな味わいです。おそらく、牛丼のアタマをかけることを想定して、あえて主張しすぎないように仕上げているのだと思います。普遍的でありながらコク深い素直な美味しさです。
スパイシーで辛味強め。牛丼との足し算がクセになる『すき家』の「カレー」

続いて、『すき家』の「カレー並」に「牛あいがけ」を加えたもの。今回は吉野家の「牛カレー」に近づけるためにあいがけ仕様にしました。ただ、これをやると690円になります。これは丼モノチェーンでは高く感じてしまうのも正直なところ。しかし、すき家ファンの間ではカレーは評価が高く、リピーターが多いメニューです。さっそく食べてみましょう!

いざひと口食べてみると、こちらのカレーはとにかくスパイス感強めで、辛さが際立っています。吉野家の「牛カレー」は抑制の効いた味でしたが、その逆ですね。カレー単品でもかなりのインパクトがあります。この主張強めのカレーに、牛丼のアタマをあいがけすることで「足し算+足し算」的な強い味わいに。これがまた妙にクセになる味で美味しい!
まさに吉野家のカレーの対極にあるのがすき家のカレーのように感じました。「今日はガッツリいきたい」という人や、スパイス感が好きな人は、すき家のほうがインパクトがあっていいかもしれません。
リニューアルで牛肉量アップ! 味わいも進化した『松屋』の「ビーフカレーギュウ」

続いて、昔からカレーに定評がある『松屋』の「ビーフカレーギュウ」。昨年(2022年)末に「創業ビーフカレー」を終売し、それをさらにレベルアップさせたのが「松屋ビーフカレー」です。牛肉の量を増やすことで、カレーソース全体の旨みを押し上げているとか。このカレーに牛丼のアタマをあいがけにしたものが「ビーフカレーギュウ」。価格は880円。正直、牛丼屋にしてはかなり高いですね。でも肝心なのは味。いざ、いただきます!

すき家のカレーにスパイシーでパンチ力を感じたのに対し、松屋は“牛肉の旨み”を前面に押し出しているのがよくわかります。口当たりこそマイルドながら、後から強烈なコクが追いかけてきます。味わい豊かなカレーに牛丼のアタマをかけていただくと、すき家同様に足し算的な強い味わいになります。
カレー自体の完成度が高いことで、高い値付けも納得。ただ、カレーのレベルが高いので、もはや牛丼のアタマはなくて良いかも? とも思いました。カレーだけで十分満足できる完成度の高い一品でした。
『なか卯』の「カレーこだわり卵はいからうどん」は意外にもスパイス推しの絶品カレー。うどんとの相性も◎

続いて、『なか卯』の「カレーこだわり卵はいからうどん」。カレーライスとうどん、生卵がセットになったメニューです。ご存じの通り、なか卯は「親子丼」や「うどん」などが代表メニューで、卵の美味しさでもよく知られています。言い換えれば繊細な味の表現に定評があるお店なので、当初は「カレーもどこか上品で繊細な味わいなんだろうな」と勝手に考えていました。しかし、実際に食べてみたら、その先入観は一気に覆されました。

かなりスパイシーなカレーで、辛味も強く複雑な旨みが口の中に広がります。正直驚きましたが、これが非常に美味しいんです。そしてなか卯自慢の黄身の濃い卵をかけてみると、さらにコクが増し、まろやかな味わいに変わります。これはウマい! カレーと対照的にあっさりした「はいからうどん」とのコントラストも素晴らしく、筆者的には今回の食べ比べで一番美味しいと思ったカレーでした。