
●調査内容:魚の「とり方」と「シメ方」にはどんな方法があるのかを、「釣宿」直送+「神経シメ」が売りの人気酒場『マヅメ』で聞いてきた!
美味しい魚料理をいただけることで、「予約しないと入れない」とも言われる大人気の居酒屋『釣宿酒場 マヅメ(以下、マヅメ)』(有楽町電気ビル店)。一般流通される魚ではなく、各地の「釣宿や漁港」からの直送が売りで、さらに「神経締め」でいただける魚もあり、一般的な居酒屋よりもはるかに美味しい魚料理を比較的安価に堪能することができます。
しかし、門外漢にとっては、「釣宿」「神経締め」というのが果たしてナンなのかがよくわかりません。そこで今回はこの『マヅメ』の担当者に「魚のとり方」「魚のシメ方」について詳しく聞きました。
「釣り」で捕獲した魚はストレスを感じにくく、旨み成分が残りやすい

というわけでさっそく『マヅメ』担当者に「魚のとり方」「魚のシメ方」を解説していただきました。
「一言に『魚のとり方』と言っても、種類は様々ですが、大別すると以下になります。
・一本釣り
・はえなわ漁
・ひき網漁
・定置網漁
・巻き網漁法
・刺し網漁法
・流し網漁
・棒受け網漁法
例えば、これらのうち網で魚を獲る『網漁(あみりょう)』では、網にかかった魚は、逃げようとして網の中で暴れて死んでしまうことがあります。また、死ななかったとしても、魚は網の中という特別な状態に置かれることで強いストレスを感じ、その結果、魚肉に含まれた旨み成分(アミノ酸)が分解されてしまうと言われています。
これに対し、『釣り』での捕獲の場合、釣った後、すぐに血抜きなどの適切な処置をすれば、魚はあまりストレスを感じないため、結果的に旨み成分が残りやすいとも言われます」(マヅメ・担当者)
『マヅメ』が「釣宿酒場」として、「釣り魚」にこだわり、提供しているのはそのためだそう。ちなみに、「釣り」と「網漁」でその差が如実に出る魚は東京湾の金アジとのこと。回遊せずに餌を食べて育つ金アジは、脂肪のノリが良くその美味しさは他のアジと比べものになりません。だからこそ、「旨み成分を逃すまい」と、『マヅメ』で出される金アジは必ず釣りで捕獲したものだと言います。

実は、こういった「釣り魚」は、各地の自宅や地元の料理店などで消費されることが多く、流通量が圧倒的に少ないのですが『マヅメ』では、各地にある提携の「釣宿や漁港」などから釣魚を買い取ることで、低価格で安定的に提供する事を実現しているのだそうです。
「神経ジメ」することで生臭さがなくなり、身の透明度と歯ごたえが増す

では、その美味しさと鮮度を保つために重要な「神経ジメ」とは具体的にどういった方法なのでしょうか。
「『神経ジメ』とは、簡単に言うと、魚の神経にワイヤー等を通し、神経を壊すシメ方のこと。こうすることで腐敗が遅くなり新鮮な状態を長く維持することができます。店内の生け簀の魚を神経ジメした後に、脳締め・血抜きも行います。この工程を施すことで、魚特有の生臭さがなくなり、身の透明度と歯ごたえが増すため、魚をより新鮮で美味しい状態に保つことができるのです」(マヅメ・担当者)

『マヅメ』では毎日19時から神経ジメされた活魚のさばきたてを、数量限定で提供しています。取材時に神経ジメされた魚は鯛。せっかくなので、筆者も「刺身」と「握り」両方をいただいてみました。

さばいた直後、皿に乗った状態でも身がピクッと動いているほど新鮮で、驚きを覚えます。プリプリの食感と旨みがたっぷり詰まった「神経ジメ」の鯛は全く生臭さがなく、醤油をつけずしてもかなり美味しくいただけました。
「釣り魚」の「神経ジメ」以外もすごかった!『マヅメ』の人気の理由とは?

ここまでの解説から、多く流通される魚とはまるで違い、どこまでも鮮度と美味しさを優先したものが「釣り魚」や「神経ジメ」と言えそうですが、これだけの手間がかかっていると、本来であれば相当な価格になるはずです。しかし、『マヅメ』では、この点もギリギリの薄利によって低価格を実現しており、例えば「刺身」は、1皿429円~。「刺身」以外にも、おつまみ感覚で食べられる「うな玉巻き 生七味」(649円)などのオリジナルのメニューも豊富にあります。

さらに、1杯目よりも2杯目、2杯目よりも3杯目と、飲めば飲むほど安くなる「どん安」ドリンクの設定などもあり、気兼ねなく利用できる点がマヅメの良心と言って良いでしょう。
調査結果:魚の「とり方」や「シメ方」のうち、出来る限りのベストが「釣り魚」や「神経ジメ」。これらを安く味わえるのが『マヅメ』の人気の秘密だった!

魚の「とり方」や「シメ方」のうち、出来る限りのベストが「釣り魚」や「神経ジメ」。そして、その希少な魚を安価に楽しめ、その他のメニューも充実している『マヅメ』。その人気の秘密が今回の取材でよくわかりました。最後に、まだ「釣り魚」や「神経ジメ」の味わいを体験したことがない方へメッセージをもらいました。
「前述の通り『釣り魚』は釣り人自身や地元の料理屋などで消費されることが多く、都会に住む私達が口にする機会はほとんどありませんでした。当店では、釣り人に限らず、一般のお客様にも希少な釣り魚をリーズナブルに楽しんでいただきたいと思い、営業をしています。
もちろん、『釣り魚』や『神経ジメ』以外にもお酒のすすむメニューを用意しています。今の冬場の寒い時期はブリ、マナガツオ、ヒラスズキ、ウマヅラハギ、マハタなどの刺身や、あん肝や白子などもオススメですね。ぜひ一度当店へ足を運んでいただければ嬉しいです」(マヅメ・担当者)
(撮影・文◎加賀ま波・松田義人)