スモーキーな香りがたまらない! 丼を覆う3種の豚肉

のんびり待つこと数分、目の前に出てきたのはびっちりと豚肉が敷き詰められた丼と味噌汁、そして漬物。早速計測です。直径15cmの丼に盛られた豚丼は706g、味噌汁は164g(ともに器の重さを除く)。漬物を入れておよそ900g前後でしょうか。
約1kgなら余裕かな~、なんて思いながらまずは一口! 炭火ならではのスモーキーな香りが口の中に広がります。肉の外側のカリカリもいい感じ。いわゆる一般的な豚丼より、香ばしさとカリカリ感が立っている感じです。

「豚肉は山形の『米沢豚一番育ち。肉質はきめ細やかでしまりがあるのが特徴です。お米は新潟産の鑑定士推奨米、タレは甘辛の秘伝だれですね。備長炭の炭で焼いています。この4つのこだわりが『和とん』の美味しさの理由なんですよ」と話す店主。肉自体が甘みを持っているので、甘めのタレとの相性がいいとのこと。素材ひとつひとつにこだわりが感じられます。

そもそも、ましましを始めたきっかけは?「お客様からのリクエストですね。最初はノーマルな豚丼だけだったんですが、豚トロやバラなどのリクエストがあって。そのうち、大盛りとかできないかって言われてね」。なるほど。お客様のリクエスト、そして飽きさせない工夫から生まれた“ましまし”ということですね。

食べ進めてわかったのが、この丼、“くどくない”。「うちの豚丼は油ギトギトじゃないからね。炭火焼きで香ばしくなる上に、油が落ちるから。だからバラ肉の油が苦手な人も、うちの丼なら食べられるって言ってくれるお客さんもいるんですよ」。確かに、程よく油が落ちて香ばしさが立つのが炭火焼のいいところ。胃がちょっと疲れている時でも、いけそうな気がします。

そして、店主からお店に食べに来てくれるお客さんに向けてメッセージ。「お客さんから、愛想良くないって思われているかもしれないですが、一人でやっているのでお客さんとの会話が難しいんです。申し訳ないですね」とのこと。
寡黙な店主が丁寧に焼き上げる炭火焼の豚丼は、スモーキーでほんのり甘くて、どこか家庭的なホッとする美味しさ。次回は王道の温泉卵や、さっぱり定番の白髪ねぎなど、トッピングもプラスして食べたいなぁ。駅前の華やかなエリアからは離れていますが、赤羽に来る機会があったらまた寄りたい、香ばしさが癖になる美味しさの豚丼でした。
(取材・文◎いしざわりかこ)