本場・大分仕込みのからあげはどれも絶品!

まずはしょうゆからあげを。正統派とも言うべきモモ肉のからあげです。ザクッとした食感の衣を突破し、フワッとした肉に歯が到達したかと思うと、肉汁がピュッと水鉄砲のように噴き出てきます。醤油の香ばしさがほのかに広がったかと思うと、すぐにそれをかき消すように肉の旨みが畳み掛けてくる…。この二段攻撃がたまりません。肉の味に深み、いや妙にキレがあります。肉本来の味わいを存分に活かした見事な調理です。

お次はぼんじり。炭火で焼いたホルモンのようなプリンプリンの食感が特徴で、カリッとした衣に歯で圧をかけていくと、ねっとりとした旨みが口いっぱいに広がります。なんともコラーゲン感のある、舌の上でとろけるような味わい。ひと口サイズで、食べ始めると止まらなくなる美味しさで、お酒のアテにもピッタリです。
そしてピリ辛チューリップは、手羽元を使用したものです。通常のチューリップに唐辛子の風味を加えたもので、たしかにピリ辛。しかも骨にまでびっしりと衣がついているのが嬉しいですね。骨を手で持ち、ザクザクと音をたてながら食べていくと、ビールが欲しくてたまらなくなります。

最後に骨だけが残りますが、これをそのまま捨てるのはもったいない! 前歯の先で骨についた衣をかじると、香ばしさだけでなく、そこに染み込んだ旨みも楽しめます。骨の中には旨み成分が詰まった髄液があり、骨周辺にはそれがにじみ出るんですね。骨付き肉が美味しいのも、この髄液のおかげ。「骨の髄までしゃぶる」という言葉がありますが、美味しさを最後の最後まで味わい尽くす、という意味で、言い得て妙です。

ご紹介した以外にも、こちらの『弥栄』にはムネ肉からあげや手羽先、砂ずりや軟骨などのからあげのほか、大分名物のとり天もあります。お弁当でも提供しているので、からあげの聖地・大分の味を堪能したい人にはおすすめですよ。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。