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朝活、婚活、ソー活、妊活、終活……前代未聞の活動ブームの陰で、「から活(からあげ食べ歩き)」に余念がない、からあげのプロ=カラアゲニストたちがいることをご存知だろうか。これは、からあげの聖地・大分県中津市出身のライター松本壮平氏がお送りする、渾身のから活レポートである。
美しいルックスと小振りながらも旨味十分な肉!
カラアゲニストたちが好んで食べるのは、鶏のからあげばかりではありません。ときには鳥類以外からあげも食べるのですが、今回は視点を変えて哺乳類、それもクジラのからあげ。渋谷109のそばの『元祖くじら屋』は昭和25年創業の老舗で、都内でも珍しいクジラ料理の専門店です。調査捕鯨で捕獲されたクジラを丸ごと一頭使って、さまざまな料理を出してくれることでも有名。こちらの〈鯨からあげ〉は、からあげグランプリ・素材バラエティー部門で金賞を受賞したこともあり、カラアゲニストの間で噂になるほどの名物料理です。
ランチタイムにお邪魔して〈鯨からあげ定食・1,350円〉をいただきました。イワシクジラの背肉を使っているというこの鯨からあげ、目の前に出てきた瞬間、粉雪をまぶしたかのような美しく白いルックスに心を奪われます。箸でつまみ上げると、表面の白い衣がはらりと崩れ落ち、それが木の枝から落ちる雪のよう。店内の和の雰囲気ともマッチしていて、ちょっと風情もあります。
からあげに使う部分は赤身を薄切りにしているそうですが、こんな小さい肉片のどこにそんなに蓄えているのかと思ってしまうほど、噛むと肉汁がハンパなくあふれ出してきます。柔らかいのに歯ごたえがあるのは、噛めば噛むほど牛肉を食べているかのような旨味と甘味がわき出してくるからでしょうか。
最近、まだまだ少数ですが、牛肉のからあげもちらほらと見かけるようになりました。しかし牛肉よりも、この鯨からあげのほうが数倍おいしく感じてしまいます。クジラの肉は牛肉に比べて栄養価が高いといわれており、脂質は約1/4、コレステロールは約1/2、エネルギーも約1/2というデータもあるほど。肉好きな人の中にはダイエット食と考えている人もいるのだとか。牛肉よりもたんぱく質が豊富なので、貴重な健康食のひとつといえるかもしれません。
●店舗情報
店名:「元祖くじら屋」
住:東京都渋谷区道玄坂2-29-22
TEL:03-3461-9145
営:ランチ 月~金:11:30~14:00/土・日・祝:11:30~17:00
ディナー 月~木・日:17:00~22:30(ラストオーダー21:45)/金・土・祝前日:17:00~23:00(ラストオーダー22:45)
定休日:年末年始を除く第1・第3月曜日 ※店舗の都合で変更になる場合あり。
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。