いつまでも消えない泡の秘密とは?
美味しいビールの条件の一つとして思い浮かぶものといえば、シュワッと喉を刺激する炭酸ではないでしょうか。しかし近年、炭酸ガスではなく“窒素”を使うことで、ひと味違ったビールの魅力を教えてくれるスタイルがあります。それが「ナイトロビール」。
昨今、話題を呼んでいる窒素抽出コーヒーの“ビール版”といえばわかりやすいかもしれません。欧米ではすでにメジャーですが、日本ではまだまだ見かける機会は多くありません。そんなナイトロビールを樽生で味わえる希少なお店、『TAP STAND』(東京・新宿)に、取材に行ってきました。
「泡のクリーミーさ、舌触りがまったく別物。喉に刺激もなくスムーズ」と、ナイトロビールの魅力を教えてくれたのは、スタッフの江刺達二さん。
注いでもらったビールを見れば、確かにフォームミルクのようなきめ細かい泡がビールを覆っています。しかもこの泡が30分も消えず、いつまでもビールの上に寄り添っているから驚き。口にすればさらに違いは歴然。刺激の代わりに香りが立ち、喉越しの代わりに旨みが残ります。グビッと飲んではもったいないと思えるような上質な味が広がるんです。
ひとくちにナイトロビールと言ってもその味わいは種類によって多種多様。今回、『TAP STAND』で試飲したのは上の画像の3種類。それぞれの特徴は以下の通りです。
まず「ミルクスタウト ナイトロ」から。コロラド州レフトハンドブリューイングが手がけるビールで、ローストモルトの香りと深いコクで、まるで深煎りのアイスコーヒーのような味わいが楽しめます。
また、同じレフトハンドブリューイングの「フラミンゴ ドリームス ナイトロ」は、ブラックカレント(カシス)の酸味が前面に出つつ、ナイトロ特有の滑らかさも併せ持つ、爽やかで飲みやすい一杯。
そして「ナイトロ ルビーティアーズ」は『TAP STAND』3周年を記念して、元は炭酸ガスの人気ビールをナイトロ仕様に特注したもの。ルビーエール特有のホップの香り、ロースト香を、滑らかな泡が優しくまとめています。
ところで、ビールのお供に欠かせない料理も『TAP STAND』には多数揃っています。
コクのあるアボカドディップがどんなタイプのビールにも合う定番フード「ワカモレ&トルティーヤ」やレタス、チョリソー、ミートソースなどで仕上げたピリ辛タコスのようなピザ「Tap’s Mex」など、ビールの味わいを何倍にも増幅してくれる料理ばかり。
また、通常の樽生ビールも20種以上揃っているので、ナイトロビールと飲み比べて違いを感じてみたり、料理とのマリアージュを探究してみるのも楽しいのではないでしょうか。
(取材・文◎鴫原夏来 撮影◎大谷次郎)
●SHOP INFO
店名:TAP STAND
住:東京都新宿区新宿3-35-3 森治ビル1F
TEL:03-3226-0566
営:15:00~23:30(フード22:30LO、ドリンク23:00LO)
日・祝15:00~23:00(フード22:00LO、ドリンク22:30LO)
休:無休
※当記事は『食楽』2019年夏号の記事を再構成したものです