豊かな食感が楽しい!

あまりにいい香りがするので、店内のイートインスペースでいただくことにしました。
まず「プレーンベーグル」。かじるとムニッと皮に粘り気があり、ふわりと小麦のいい香りがします。噛み締めると弾力があり、中の生地はふわっとやわらか。噛むほどに淡い甘みを感じます。

続いて「ごまチーズ」をいただくと、チーズに覆われたベーグルの皮はパリパリ、カリカリッとしていて、中の生地はもっちり。ごまとチーズの焼けた感じが香ばしく、思わずパクパク食べてしまいます。
さらに「チョコレート」は、ココアの風味が全体の生地にチョコレートのつぶつぶ感がアクセント。こちらの生地は、皮のムニっと感はそのままに、中はしっとり感があります。
さらに、「NY定番のスモークサーモンとクリームチーズを挟んだサンド“LOX(ロックス)”がウチのイチオシですよ)と女性店主に教えてもらったので、それも追加注文。

作っているところを見ていると、ベーグル自体が大きいため、具材のサーモンもクリームチーズもたっぷり。

ずっしり重い「LOX」を食べてみると、ベーグルの外側はカリッとハードですが、中の生地が柔らかいので、具材のクリームチーズとサーモンのしっとり感とピタッと合って、口の中でバランスよく混じり合う。こんなにビッグサイズなのに、まだまだ食べられそうと思えるから不思議です。
具材もたっぷりNYスタイル
店主の釜井恵美子さんにお話を聞いてみました。
「ベーグルが大きいのは、本場NYのスタイルでやりたかったからなんです。NYのベーグルは大きいうえ、食事感覚で食べるので具材に肉や野菜をたっぷり挟んで食べるのが主流です。ちなみに日本で一般的なベーグルのサイズは、向こうでは“ミニベーグル”って呼ばれているんですよ」

釜井さんの経歴を伺うと、10年ほど前から日本や海外のベーグルを食べ歩き、自宅でも毎日焼いていたというベーグルマニア。6年ほど前から代官山のカフェでベーグル教室の講師も務め、2016年10月に、とうとう念願の専門店を開いたのだそう。
ところで大きくても軽く食べられてしまう理由はどこにあるんでしょうか?
「確かに、うちにいらっしゃるお客さんは、“大きいね”と言いながら、サンドを2個、3個食べられる方が結構いらっしゃいます。意外に軽いんですよね。バターなどを使っていないこともありますが、その軽さの理由は、食感にあるかもしれません」
こちらでは、北海道産の“キタノカオリ”と、フランスパン用の“リスドォル”(準強力粉)という小麦粉を半々に使っているそうです。
「それぞれ個性的な粉なのですが、その二つを使うことで、外側はパリッと香ばしく、噛むともっちり粘り気もあって、ハードそうなのですが、内側の生地は非常にソフトで軽く仕上がるんです」
確かに食感も小麦の味もとてもしっかりしていますが、食べられるのは、フランスパンのような軽い食感も兼ね備えているからかもしれません。

「ベーグルに夢中で、職人のようにベーグルばかりを作り続けてきたんですが、お店をオープンしてみて、お客さんとお話しするようになって、少し考え方が変わりました。それは、あるお客さんに“ここは幸せの発信基地みたいですね”と言われたからなんです。ベーグルを通して、そんな気分になってもらえたらいいですね」と釜井さん。
確かに、ぷっくり大きなベーグルを見ていると、なんとなく気分が上がる気がします。みなさんも、ぜひ『えび寿ベーグル』のベーグルを食べてみてください。大きいだけではなく、本当に美味しいですよ。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:えび寿ベーグル
住:東京都杉並区梅里2-6-3
TEL:非公開
営:11:00~20:00
休:木