
4年前、白金でオープンするやいなや、東京に「焼きそばブーム」を巻き起こした『無添加焼きそば BARチェローナ』。人気絶頂のさなか、2018年6月に忽然と姿を消し、同年11月19日、ひっそりとリニューアルオープンしました。場所は品川・五反田の路地裏。一体、どんなお店になったのか? 隠れ家のようなお店に行ってきました。

薄暗い店内にカウンター10席、テーブル6席だけの小さな空間。中央には前店よりずっと大きな鉄板がどんと構え、まるで高級鉄板焼きのような雰囲気。そういえば、店名も『チェローナ』だけとなり、“無添加焼きそば”というキャッチがなくなっています。ひょっとして、焼きそばはなし?
心配になって、料理長の福島亮さんに質問すると、
「無添加焼きそばはもちろん健在です! しかし、今回は焼きそば専門店ではなく、美味しいお酒と、新鮮な魚介類やお肉を使った料理や鉄板焼きを楽しんでいただき、〆に焼きそばを食べていただく、そんな鉄板焼きバルにしたんですよ」とのこと。
イメージは、スペインの美食の街・サンセバスチャンの“バル”だそうです。しかし、なんだかソース焼きそばとはかなりかけ離れているようにも思えますが……
「サンセバスチャンのバルは、フレッシュな魚介や野菜を並べ、お客さんの好みの調理法で料理してくれるのが名物です。それは各バルのシェフの腕の見せどころでもあるんですが、そのスタイルを鉄板焼きでやろうと思ったんです」。
前の店を閉店してからの5ヶ月間に、シェフ自ら全国各地を巡り、地方の生産者からとびきり美味しい魚や野菜を仕入れるルートを作ったと言います。さらにこちらのお店の母体は、黒毛和牛専門の精肉卸「ヤザワミート」。これはかなり期待できます! さっそく福島さんのオススメをいただくことに。

まず登場したのがブルスケッタ。カリッと焼いたバケットの上に、モッツァレラとイタリアの魚醤(コラトゥーラ)で漬け込んだ北海道産のイクラが載っています。新鮮なイクラが口の中で弾け、レモンの爽やかさが抜けていきます。

続いてサラダ。本日は、長崎県佐世保産の戻り鰹をたたきにし、さらにスモーク。そしてほろ苦いラディッキオという野菜と合わせ、甘めのビネガーとクルミオイルのドレッシングがかかっています。酸味、甘み、苦味と、燻った香りの絶妙なハーモニーに、思わず「すごく美味しい!」と口走ってしまうほど。

その後、軽いおつまみの「海老の串焼き」も登場しました。鮮度の良い海老を使用し、セロリ、ニンジン、玉ネギなどで作った少し酸味のある野菜のソースと、スモークしたベーコンの塩気が効いていて、旨みもありつつさっぱりと食べられます。こちらは現地サンセバスチャンのバルでも人気のメニューなんだとか。
そして、いよいよ〆へ。しかし、ここでやっぱり気になるのは、この本格的なバル料理の後に「ソース焼きそば」は果たして本当に合うのか? です。