8席だけの実験室。時間の感覚までも曖昧にする白一色の空間
店名の“L’Unique labo”は、フランス語のユニークとラボという単語を合わせています。実験室という名のついたレストラン、この時点でワクワクさせてくれますが、扉を開き1歩足を踏み入れた瞬間から、より一層このレストランの魅力にハマっていくはず。

そう思わせるのは子細に考えられた空間のデザインにあります。印象的な6m超の天井高に、白一色に統一されたインテリア、小窓から差し込むわずかな光から生まれる影を頼りに、時間感覚をそっと断ち切るかのような既視感のない空間が広がります。
エントランスからウェイティングサロン、テーブル、そしてキッチンまで、段差のないフラットな作りになっています。特に、キッチンと食事をいただくテーブルとの差がないところに、シェフのプライベートキッチンという印象を受け、特別なゲストとして迎えられているような感覚になりました。こちらは実際に足を運び体感していただきたい魅力の一つです。
11皿で自然の移ろいを描く

シェフとしてのターニングポイントは、渡仏中での体験から。当時の師匠であるシェフが、ヒラメのムニエルのソースを作っていた時、通常ならフォン(出汁)を使うのが従来の手法でしたが、オレンジ果汁を煮詰め、塩、胡椒、オリーブオイルで仕上げるという、セオリーと違うソースを作り上げ、その味わいに衝撃を受けたと言います。

魚の旨みを包み込みながら、ふわりと軽やかに抜ける酸味。「料理はここまで自由になれるのか」と気付きになったそう。その経験から、果物という素材が濵野シェフの中で一気に広がり、「果物をすべての皿に使う」という唯一無二のスタイルへと進化させていきます。こうして、『Saint-Amour Bellevue』では、二つ星を6年連続で獲得へ。
生花や野草も食材に

さらに、濵野シェフの料理には、生花や野草は食材として登場します。糸島のトマト農家の家庭に生まれ、自然の中で育った幼少時代。そして、濵野シェフが暮らしたフランスの地方では、料理は四季とともにあり、それがとても自然なことであったという原体験から、『L’Unique labo』の皿の中には生花が華やぎ、時に野草がさりげなく顔を覗かせます。

![パイナップル 蕪 オマール [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/12/20250105luniqlab08.jpg)
フランス料理とワインのマリアージュを体感

「フランス料理はワインとともにあり、ワインはフランス料理とともにあります。料理に使っている果物の酸とワインとの共鳴を感じてみてください」と濵野シェフ。ブルゴーニュ産のワインを軸に、日本ワインもセレクトされています。ワインを飲める方は、ぜひマリアージュを楽しんでくださいね。

とても印象的だったのが、
「ここで過ごすという体験を一番に楽しんでいただきたい。あくまでも料理はそのためのアシスト役です」
という濱野シェフの言葉。
コースは最初から食後のコーヒーまで約3時間、温度、香り、音、間、そのすべてを手繰り寄せ、ひとつの時間を編んでいくような体験でした。空間を味わい、食事を楽しみ、大切な人との会話も弾む、そのすべてに没入できる魅力的な一軒です。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
●SHOP INFO
L’Unique labo
住:福岡県福岡市中央区春吉3-13-1
営:12:00~13:30 (L.O.)、18:00~19:30 (L.O.)※完全予約制
休:不定休
https://lunique-labo.jp/








