奥深い味わいの豆花とトッピングの豪華さに大満足

市営地下鉄・新瑞橋駅を出ると、名古屋中心地とは違い、ゆったりとした空気が流れています。名古屋界隈でも特に治安が良く、ファミリー層に人気の住宅街です。
この新瑞橋駅を出て130メートルほどの路地裏に『豆花甘露』があります。街の穏やかな雰囲気と包み込むような朝の日差しがよく似合う店構えです。

店内に入ると、観葉植物や品の良いオシャレなウッド家具が並び、その奥でオーナーの岡本珠美さんがワンオペで切り盛りしています。
忙しそうな岡本さんを前に、オーダーを躊躇しましたが、すぐこちらの気配に気づいて「今、ご注文をお聞きしますね」と明るい笑顔で応えてくれました。オシャレなお店ですが、気取っているわけではないこの温かい対応が素敵です。
5種のトッピングを選べる「総合豆花」

『豆花甘露』の基本の豆花メニューは2種。「総合豆花」(900円)は5種のトッピングをお好みで選べます。もう一つの「季節の豆花」(800円)は旬の果物をトッピングしてあります。
ここで筆者は「総合豆花」をオーダー。白きくらげ、芋圓(さつまいもの団子)、緑豆、ピーナッツ、小豆、という定番トッピングでお願いしました。

手際よく、そして丁寧に豆花を作ってくれる岡本さん。その様子は見ているだけで楽しく、写真を撮らせてもらいました。
程なくしてサーブされた「総合豆花」はまさに豪華絢爛のビジュアルで、男性の筆者から見ても結構なボリューム感。

これがまず嬉しいですが、もっと嬉しく感じたのがその味。豆花は、本来の豆の風味を損なわない一方、絶妙な甘さのシロップと数々のトッピングの味・食感によって、奥深い味わいを表現しています。
これだけの満足度であれば、デザートとしてだけでなく、朝か昼のヘルシーな1食としても十分成立するようにも感じました。
もちろん、『豆花甘露』では豆花以外にも、台湾茶やコーヒーなどもあり、ドリンクだけを楽しむのもOKです。
豆花の美味しさを知ってほしい

さらにシンプルに果物と合わせていただく「季節の豆花」もかなり気になりましたが、ここはグッと我慢。お店が少し落ち着いたところで岡本さんに話を聞きました。
聞けば、岡本さんは台湾留学に行った姪っ子さんに会いに行った際に食べた豆花の味に感動。帰国後に地元・名古屋で豆花専門店がなかったこともあり「いつかお店を出したい」と決意。
台湾・日本を行き来しながら豆花の研究・調理を繰り返し、シェアキッチンでの間借り出店などを経て、2023年にここ新瑞橋にお店を出すに至ったと言います。
「豆花は台湾をはじめ、アジア各地で食べられている豆乳由来のデザートです。私のこだわりは国産で無添加豆乳を使用していることと、素材ごとの特徴を活かせるように煮た豆類のトッピングを添えること。あるいは旬で美味しい果物を添えることです」(岡本さん)

前述の通りのトッピングの充実ぶりもあり、男女問わず楽しめますが、現状ではほとんどが女性客なのだとか。
「ありがたいことですが、今後は老若男女問わずご来店いただき、さらに気軽に豆花を味わってほしいなと思っています。まだ名古屋では豆花を食べたことがない人も多いので、もっと多くの方に、この美味しさを知ってほしいと思っています」(岡本さん)
岡本さんのまっすぐな思いと、明るく気さくな接客。そして、落ち着いた『豆花甘露』の店内で絶品豆花をいただく時間は、まるで穏やかな台湾の休日の朝のよう。東海エリアのスイーツ好き、台湾ファンの方にとっては要注目のお店です。
(取材・文◎松田義人(deco))