
●最近、町中華に新たな需要を生んでいるのが、食堂としてだけでなく酒と楽しむスタイル。年間600杯を食すラーメン女子・森本聡子さんも、町中華飲みにハマっている一人。そんな森本さんに、至極の町中華飲みに案内してもらいました。
店内の壁という壁をメニュー札が覆い尽くす光景が異彩を放つ、東京・飯田橋の『長崎 雲仙楼』。和洋中のジャンルを問わず、定番から変わり種まで網羅するその品数は年々増え続け、現在では460品を超えるという。
「うちは材料と時間さえあれば、お客さんのリクエストに応えて何でも作るの」と語るのは、二代目店主の佐藤光広さん。

麺料理だけでもちゃんぽんにラーメン、焼きそば、うどん、そば、パスタなど幅広く、さらにそれぞれの具材や味のバリエーションも無数にある。さらにはタンメンの麺なしなど、トリッキーながら糖質制限中には意外と嬉しいメニューなどもあるから面白い。こうしたお客のリクエストで好評だったメニューをレギュラー化するうちに、この数にまで至ったという。

初代店主は佐藤さんの叔父。故郷・長崎県雲仙の名物でもあるちゃんぽんと皿うどんが売りの中華食堂を、上井草とここ飯田橋で営んでいた。同郷で共に暮らしていた佐藤さんは16歳で上京し、その店を数年手伝った後は、八重洲の地下街にある居酒屋などで長年料理人として勤務。叔父が亡くなった後も店を守ってきた叔母の頼みもあり、40歳で店に戻ってきた。