待つ間の「胡麻酢和え」と「うまき」も至極の旨さ!

うなぎが焼き上がるのを待つ間に、まずは火照った体をクールダウンすべく「胡麻酢和え」(770円)を。

薄切りのレンコンとクラゲを練りゴマと酢で和えた冷たい一品。ゴマのほのかな甘みと酢のバランスがちょうどよく、ちびちびつまみながら、ビールを一杯飲めば至福の時がやってきます。

ふわっふわな卵でうなぎを巻いた「うまき」(1980円)もぜひ。ほんのり甘めに味付けされた卵が、しっかり肉厚のうなぎの存在感を引き立てます。
鰻お丼はすっきりとしたタレが絶品

やってきました、鰻お丼! ふんわりと蒸したあとに、100年以上にわたり継ぎ足してきた秘伝のタレを付けながら、じっくりと焼き上げています。タレはすっきりとしていて上品な味わい。甘すぎず辛すぎず、あっさりしすぎず、思わず「コレよ、コレ!」と膝をたたきたくなる完璧な味。お箸が止まりません!

「当店のうなぎは脂が乗っていてもしつこくないとおしゃっていただけます。白焼きとかば焼きの両方を召し上がるコースでは、『多いかもしれない』とご心配されるお客様がいらっしゃいますが、いざ召し上がってみると皆さん両方召し上がりますね」と六代目の大女将・別府淳子さん。
その言葉通り、あっという間に完食してしまいました。美味しすぎます……!
斎藤茂吉も魯山人も愛したはなれもぜひ利用したい

2名以上からコースを予約すると、はなれの個室を利用できます。個室は関東大震災のあと、1924年(大正13年)ごろに建てられたそうです。うなぎ好きで竹葉亭を贔屓にしていた斎藤茂吉は、この竹葉亭の離れで、長男の茂太とその婚約者との両家顔合わせをしたそうです。
「お座敷は昔のまま。毎月、掛け軸を替え、季節のお花を生けています。花屋さんだけではまかなえないお花もありますので、自宅や店の屋上で育てて工夫しております。お客様にはお味はもちろん、落ち着いてゆっくり召し上がっていただき、心も満足いただきたい。その思いを今後も継承したいと思っております」(別府さん)
まとめ

北大路魯山人は『鰻の話』(昭和10年)で、うなぎの一流店として竹葉亭を挙げ、「風格がある」「美を知るものは、たとえ商売が何屋であっても、どこかそれだけちがうものがある」と、味だけでなく店のしつらえまで大絶賛。銀座ならではの歴史ある店。おもてなしの心を味わうためにもぜひ訪れたい名店です。
(取材・文◎松みのり)