絶景とともに、山梨ならではの肉、野菜をたっぷり堪能できる創作フレンチ

『オーベルジュ マーメイド』は河口湖のほとりに佇む洋館のような老舗のオーベルジュ。先代が残したこの素敵な店舗を切り盛りするのは、渡辺さんご兄弟です。
「父が残してくれたオーベルジュを守りつつ、滞在されるお客様に素敵なひとときを刻める料理とサービスを提供していきたいですね」(マネージャー・渡辺研史さん)。試行錯誤しながら料理も宿泊施設も今の時代に合うものに進化させつつ、今も変わらぬ家族経営らしい和やかな雰囲気が漂っていました。

開放的な窓いっぱいに広がる富士山の雄大な姿を眺めながらいただくのは、四季折々の食材を活かしたフレンチ創作料理です。
「やまなし美酒・美食マンス」で提供されたのは、前菜、スープ、メイン料理、デザートが付いた5000円のコースで、メイン料理は「ラング・ド・ブッフ・ブレゼ 牛タンの赤ワイン煮」。ペアリングとして、機山洋酒工業の「キザンワイン(赤)」を選んでいただきました。

「牛タンの赤ワイン煮」は、添えられた旬の野菜も魅力の一つです。プチヴェールや姫かぶ、芽キャベツ、大塚にんじん……どれもとにかく瑞々しい。「クレソンは富士山の湧水で育てているので、甘みが強く、パリッとした食感が楽しめる山梨自慢の食材の一つなんです」(渡辺仁さん)

「牛タンの赤ワイン煮」には山梨が生んだ「甲州ワインビーフ」を使用。「ワインビーフは肉特有の脂っこさや臭みがなく、程よい脂の甘みとあっさり感が同居していて、赤ワイン煮にぴったり」なのだそう。

スッとナイフが通り、口の中でほろほろと解けていくような柔らかさ。確かな甘みとさっぱりした肉の旨みが自家製ソースのコク深さと解け合います。この自家製ソースがまたいい。新鮮な野菜を浸しながら味わうとまた格別でした。

お肉の旨みを引き立てるのが、辛口ミディアムボディーの「キザンワイン 赤2022」(通常は2019年のワインをペアリングのおすすめとして提供)。イチゴや柑橘系の果実味に山椒のようなスパイシーな味わいが感じられ、酸味と渋味のバランスもいい。赤ワイン煮のお肉やソースを引き立てつつも、存在感のある味わいでした。
衝撃だったのが、「僕はすごく好きでおすすめしてるんです」(渡辺仁さん)と提供してくれた赤ワイン「アジロン」。幻の黒ブドウと言われる「アジロンダック種」で造られ、味わったことのないリキュールのような甘さ。しかしながら甘すぎず、後をひくおいしさに感動しました。
![常時20種類ほどのワインが揃う [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/03/20240331-marmeid09.jpg)
コース料理の内容は季節ごとに変わるそうですが、今回のコースは電話予約で用意いただけるそう。またランチではピザやパスタなどカジュアルに食べられるメニューも揃っているので、様々なシーンで楽しめそうです。
和と洋、露天風呂付きなど様々な客室が揃う

![露天風呂付き客室も [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2024/03/20240331-marmeid11.jpg)
宿泊部屋も見せていただきましたが、老舗らしさが滲む洋室や斬新な和室、富士を望む露天風呂付きなど、趣向を凝らした様々な部屋がありました。これは一度、泊まってみたい!
地元の生産者や醸造家の方々にクローズアップした料理の数々に、美しい景観、寛げる宿としての顔。旅の醍醐味を味わえる理想のオーベルジュでした。