世界と日本を繋ぐ料理人を発掘する「日本食・食文化普及人材育成支援プログラム」潜入レポ

世界と日本を繋ぐ料理人を発掘する「日本食・食文化普及人材育成支援プログラム」に潜入してきた
食楽web

 日本料理を学びたい外国の料理人を対象に、日本食に興味関心のある人材を発掘・育成するプロジェクト「日本食・食文化普及人材育成支援プログラム」。今年で4回目の取り組みとなる事業の開講式セレモニーが2019年7月1日、都内で行われました。

 日本食の魅力を発信する手助けを担ってくれる海外料理人の発掘を目的としたこちらの試みは、農林水産省の補助金プロジェクトの一つ。日本の食関連事業の海外展開を行う際などに、パートナーとなりうる外国人日本料理人の育成や、世界に誇る日本食文化の再認識、普及を促すために行われています。

世界各国から和食を学びに来日した、4期生たち
世界各国から和食を学びに来日した、4期生たち

 開講式に参列したのは、オーストラリア、中国(香港)、チェコ、イタリア、メキシコ、ペルー、ポルトガル、ルーマニア、英国、米国の世界10カ国から選ばれた、13名の研修生たち。彼らは、世界350人の応募者の中から、勤務先からの推薦を受け、料理人としての経験・技術、日本食への興味関心などの選考基準を通過した精鋭ばかりです。

 イベントに登壇した農林水産省の蒔苗 義昌(まかなえ しげあき)さんは、「このプロジェクトを通して、日本の食に対しての向き合い方や、食品衛生管理、料理の技術、おもてなしの精神を学んでもらう場になれば。研修を通じて、日本食を世界に発信してもらうリーダーになってもらいたい」と歓迎の言葉を述べました。

 約8ヶ月に渡って行われるという「日本食・食文化普及人材育成支援プログラム」は、今後3週間、『長沼スクール 東京日本語学校』にて、日本語の基礎や生活に必要な礼儀作法などを学びながら、豊洲市場の見学や、NPO法人うま味インフォメーションセンターの協力のもと、甘味、塩味、酸味、苦味や日本独自の味文化“うま味”についての講義や試食を体験。

 その後、約1ヶ月間、京都の『大和学園 京都調理師専門学校』に移り、基礎的な日本料理の調理技術、食材の知識、調理技術、日本の食文化及び、料理における食品衛生管理に関する知識を学んだ後、研修店舗として選ばれた13の店舗で半年の個別実務研修を受けるプログラムになっています。

日本を代表する名店などでの研修を経験できる
日本を代表する名店などでの研修を経験できる

 今年の研修先の店舗は次の通り。『菊乃井』、『嵐山熊彦』、『魚三楼』、『赤坂 浅田』、『たん熊北店』、『京料理 木乃婦』、『つきぢ 田村』、『さかえ寿司』、『しち十二候』、『祗園 さゝ木』、『銀座寿司幸本店』、『銭屋』、『京懐石美濃吉本店 竹茂楼』、『日本橋ゆかり』。

 いずれも全国屈指の実力と実績を誇る名店ばかり。各店舗の店主も開講式に出席し、研修生に期待の眼差しを送っていました。

 式の終盤では、プロジェクトの参加者一人一人が、日本文化への情熱や、日本食への思い、今回のプロジェクトへの意気込みをそれぞれの言葉で語り、会場を盛り上げていました。

 さらに研修の間には、農林水産省が制定した「海外における日本料理の調理技術の認定に関するガイドライン」に基づいた試験も行われる予定で、研修で習得した知識、調理技術レベルに応じ、ゴールド、シルバー、ブロンズの3段階のうち、最大シルバーまでの認定を受けられることになっているそうです。この認可を得ることで、海外における日本料理の調理技能を農林水産省が認定した証となるそうです。

 期待と不安の入り混じった面持ちで挨拶をする今回のプロジェクトに選ばれた研修生たち、今後世界で日本食文化の発展に尽力してくれることを期待したいですね。

●DATA

日本食・日本文化普及人材育成支援協議会

http://www.tow.co.jp/program/