
●東京にある地方のアンテナショップをめぐり、そこで買える絶品「和菓子」を探してきました。今回は福井県の水ようかん文化に迫ります!
福井県の“冬の風物詩”として知られる「水ようかん」。水ようかんといえば夏に食べるイメージを持つ人が多いと思いますが、実は福井県では水ようかんは寒い冬に食べるのが一般的。冬が終わり、暖かくなると水ようかんの販売も終わってしまいます。
そんな福井の水ようかんが、いま東京・銀座にある福井県のアンテナショップ「ふくい食の國291」にて2025年3月31日までの期間限定で販売中。福井県内の水ようかんの中から、5〜7銘柄が勢揃いしています。というわけで本記事では、福井県のさまざまな地域で販売している水ようかんの魅力を改めてご紹介します。
なぜ水ようかんは福井県の風物詩なのか?

福井の水ようかんの歴史は、「丁稚奉公」(年少者が商家などに住み込みで奉公して働くこと)が一般的だった江戸時代に、丁稚たちが年末の帰省時に奉公先から持ち帰った小豆で作ったとか、お土産に持って帰ったようかんを水で伸ばして作り直して近所に配ったのが始まり、など諸説あるようです。
事実、福井には「丁稚ようかん」という名称の商品もあり、結局のところ、どれも水ようかんなのですが、お店によりそれぞれ食感や味わいが微妙に違います。
![小豆の割合や厚みなども各商品それぞれ違う[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/02/20250216-mizuyoukan03.jpg)
いずれにしても、水ようかんは糖度が低く、日持ちしないこともあり、福井県では早くから冬に食べるおやつとして浸透していきました。そう、福井県民は、雪が降る時期に冷やした水ようかんをこたつに入って楽しむんでいるわけです。この時期、福井ではあらゆる場所でさまざまなお店の水ようかんをゲットできるなんて、羨ましすぎますね。
銀座「ふくい食の國291」で水ようかんを買いまくる

その水ようかんを味わうべく、銀座にある福井県「ふくい食の國291」へ。広い福井県のさまざまな地域で作られた水ようかんを一度に購入できるのは、アンテナショップだからこそ。店内で販売中の水ようかんの中から特に人気のものや、通年販売している商品までピックアップしてみました。
福井県民なら誰もが知る名物『えがわ』の「水羊かん」

福井市の『えがわ』は、「福井の水ようかんといえば、えがわ」と言われるくらい、福井県ではメジャーな水羊かん専門店。レトロなパッケージも雰囲気がありますよね。

フタを開けると、ご覧の通り、紙の箱に直(じか)に羊羹が敷き詰められています。原材料は粗糖、黒砂糖、こし餡、寒天ととてもシンプルですが、全国菓子大博覧会にて、名誉総裁賞を受賞した逸品。厳選されたきめの細かいこし餡と沖縄産の黒糖で炊き上げたなめらかな食感と上品な甘みが特徴です。

福井県の水ようかん好きなら誰もが食したことがあり、リピートするというほど人気の一品。
小豆の濃さ:★★★☆☆
甘み:★★★☆☆
固さ:★★★☆☆
『阿んま屋』の「丁稚ようかん」

『阿んま屋』(福井県越前町)の「丁稚ようかん」も福井県民に長く愛されている一品です。北海道十勝産小豆の自家製あんに丹波産の寒天、沖縄波照間産の黒砂糖で炊き上げています。色合いは『えがわ』のものよりやや薄めですね。

ヘラですくって食べてみると、なめらかな食感とちゅるんとした喉越し。波照間産の濃厚な黒糖の風味と塩のバランスがよく、シロップに浸かったようなみずみずしさもあり絶妙な味わい。

また、ヘラが竹でできていてようかんがすくいやすいのも地味に嬉しい。丁稚ようかんは鏡面のようにツヤツヤと輝いており、見目麗しいです。
小豆の濃さ:★★★☆☆
甘み:★★★☆☆
固さ:★★★☆☆
『馬面昭栄堂』の「水羊かん」

昭和7年創業、福井県あわら市の和菓子店『馬面昭栄堂(ばめんしょうえいどう)』の「水羊かん」は、一つ一つ丁寧な手仕事で作り上げた一品。
北海道産小豆と沖縄波照間産黒砂糖を使用し、黒糖の香りや風味を生かした水ようかんです。

柔らかな食感と滑らかな喉越しのあとに残る黒糖の風味は、コーヒーとの相性も◎。しっかりとした甘みで満足感が高い。
小豆の濃さ:★★★☆☆
甘み:★★★★☆
固さ:★★★☆☆
『村中甘泉堂』の「水ようかん」

明治43年創業、『村中甘泉堂』の「水ようかん」は、厳選された小豆あんに沖縄産最高級の黒砂糖、ざらめ糖を混ぜ、寒天やグルコマンナンを合せて炊いたものを冷やし固めて作られています。

和菓子としての小豆の味と黒糖の独特な風味を残しつつ、甘さ控えめですっきりとした口当たりに仕上げられています。大きさは小と大の2種類が用意されています。
小豆の濃さ:★★★★☆
甘み:★★★★☆
固さ:★★☆☆☆
『井上耕養庵』の「若狭葛ようかん 一枚流し」(831円)

福井県小浜市の『井上耕養庵』が手掛ける葛を使った水ようかんです。銀座のアンテナショップでは通年販売されているほか、JALのファーストクラスの機内食にも採用されているそうです。
「日本三大葛」の1つである熊川の葛と厳選された小豆を使用し、職人が一枚一枚手作業で作り上げるのが特徴。他の水ようかんとは少し違い、葛を使用したモチモチした食感で、その後スーッと溶けていき、喉越しも気持ちがいい。
その名の通り、一枚流しなので切れ目がありません。付属の木ベラで切りながら食すスタイル。ほんのりとした甘みが口に残り、美味しさの余韻に浸れます。
小豆の濃さ:★★☆☆☆
甘み:★★★☆☆
固さ:★☆☆☆☆
まとめ
そんなわけで、「こたつでみかん」だけでなく「こたつで水ようかん」もメジャーな福井県の水ようかんを食べ比べてきました。見た目は似ていますが、並べてみると色味も味も異なり、食べていて非常に楽しいです。栄養価も高いので、お茶の時間やデザートに味わうだけでなく、発熱時や食欲がない時に味わうのにも良さそうです。
●SHOP INFO
ふくい食の國291
住:東京都中央区銀座1-5-8 Ginza Willow Avenue BLDG 1階・地下1階
TEL:03-5159-4291
営:10:30〜19:00
●著者プロフィール
牡丹餅あんこ
フリーライター・編集。グルメ誌、旅行誌、女性誌、Webの取材、撮影、執筆、編集、イラストを担当。さまざまな土地のお土産やご当地グルメを歩いて探すのが好き。