
近年は日本ワインが世界中から注目を集めていますよね。でも日本ワインの歴史は意外に古いことはご存じでしょうか。ボージョレ・ヌーボーをはじめ、何かとワインが注目されるこの時期、“日本ワインの聖地”と言われている山梨県甲府市勝沼地区にあるメルシャンの「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」の見学ツアーに参加したのでその模様を紹介します。

南アルプスをはじめとする山々に囲まれた甲府盆地。その東部に位置するのが勝沼エリアです。周囲は豊かな自然に囲まれ、牧歌的な風景が続きます。そんな環境の中、瀟洒な佇まいを見せる建物に到着。ワイナリー見学のスタート地点となるワインギャラリーです。
※記事内のツアーの順番は本来とは異なる場合があります。

ギャラリー内には、同ワイナリーでつくられるさまざまなワインがずらり。中にはここでしか購入できない限定ワインもあります。「お土産にも良さそう」なんて思いながら、隣にあるワイン資料館へ。

昔、実際に使われていた醸造所を再利用して作られたギャラリーはその歴史的価値から日本遺産にも登録。館内には、日本ワインの歴史や作り方、実際に使用されていた道具など、貴重な資料がずらり。日本初のワイナリーは、約140年前に勝沼で始まったと言います。晴天率が高く、寒暖差の大きい気候がワインづくりに適しているのだそう。なるほど、これが「聖地」と呼ばれる所以なのか、としみじみ実感。それにしても当時のワインを一度味わってみたいものです。

次に向かったのが、「セラー」と呼ばれる、現在ワインづくりを行っている建物。産地や区画、ブドウの品種によって、各セラーでさまざまな大きさのタンクを使いわけて使っているとのこと。現在、勝沼でつくられているワインの主な品種は、白ワインの原料となる「甲州」と赤ワインの「マスカット・ベーリーA」。


一方、地下セラーには、同ワイナリーで生産されたワインの中でもとくに上質なワインをオーク樽にて熟成していました。室温18℃、湿度70~75%と厳格に管理されているそうです。

ワイナリーツアー後に味わうワインはまた格別

セラーの見学を訪れた後は、約20種類のブドウを栽培している「祝村ヴィンヤード」へ。こちらヨーロッパでは一般的な「ギュイヨ式」と呼ばれる垣根栽培が行われており、約20種のブドウが栽培されています。

収穫時期はほぼ終わっていたのですが、運良くカベルネ・フランの実を発見。さっそく試食したところ、実は小ぶりながら、生食でもいけるほど甘い! これが美味しいワインになると思うと感慨もひとしおです。

そしてツアーの最後は待ちに待ったテイスティング。ここ勝沼ワイナリーをはじめ、各地のシャトー・メルシャンでつくられるワインが4種類試飲できます。
スタッフの方によるそれぞれのワインについての解説を聞きながら、白ワインから順番に試飲します。このツアーで聞いたことを反芻しつつ味わってみると、どのワインもそれぞれに違った個性があり、美味しさもまた格別です。ちなみに赤ワイン好きの筆者としては、カシスやブラックベリー、さらにスパイスといった複雑かつ芳醇な香りと味わいが楽しめた「塩尻メルロー2018」が好みでした。
こうして約90分に及ぶ、めっちゃ濃いツアーは終了。時刻はちょうどお昼時。ツアーの締めくくりとして、ワインギャラリーでワインとのマリアージュを楽しめるランチをとることにしました。

地元の人気ビストロである『ビストロ・ミル・プランタン』が手がけた「ペアリングBOX」は、地元の食材を多く使った季節感あふれるもの。和あり洋ありと、ワインとのマリアージュを楽しめるよう、少量ずつ小分けになっています。合わせたワインは、「勝沼マスカットベリーA」と「岩崎甲州」。今回のワイナリーツアーを振り返りながら味わう料理とワインはいわずもがな最高。ワインが食中酒であることを改めて実感した次第。

以上、ワインツアーの魅力を一部しか伝えることができないのは残念ですが、少しでも興味をもった方は勝沼まで足を延ばし、ツアーに参加してみてはいかがでしょうか。もっとワインのことを好きに、日本ワインのことを知りたくなることウケアイですよ。また現在、本ワイナリーでも、ボージョレ・ヌーボー同様、今年の新酒を販売中。ぜひチェックしてみてくださいね。