
●新潟県上越エリアにある田上町(たがみまち)の魅力と、とっておきの極上ローカルフードをご紹介!
新潟県中越エリアにある田上町は、新潟市から電車や車でおよそ30分、米どころ・酒どころとして知られる長岡や魚沼エリアからもほど近い、のどかな田園地帯です。
なだらかな里山に恵まれ、竹林が多いことでも知られているほか、昔ながらの湯治場として親しまれてきた湯田上温泉の湯も楽しめる、自然の恵みにあふれた土地です。
今回は、そんな田上町で味わえるグルメと、竹林が織りなす絶景をめぐる小旅行にご案内します。
日本海にもほど近い米&温泉処・田上町

上越新幹線で長岡駅へ。そこから上越本線に乗り換え、在来線で羽生田駅までおよそ30分。東京からわずか2時間ほどで目的地・田上町に到着します。
ちょうど稲刈りが始まった時期で、車窓には黄金色に輝く田園風景が広がり、日本が誇る穀倉地帯らしい光景に心が躍ります。「美味しい新米が食べたい!」そんな期待を胸に駅を出ると、出迎えてくれたのは「道の駅たがみ」の駅長・馬場大輔さん。
馬場さんは生まれも育ちもここ田上町。
「全国的にはもちろん、田上町は新潟県内でも意外なほど知名度が低いんです。そんな田上町の知られざる良さを皆さんに知っていただければ」と郷土愛を滲ませつつ熱く語ります。
湯田上温泉の人気宿で絶品グルメを堪能

馬場さんの案内で最初に向かったのが、この日の逗留先である「ホテル小柳(おやなぎ)」。田上町の奥座敷ともいえる山沿いにあり、江戸期(1738年)の開湯以来、湯治場として親しまれてきた湯田上温泉の中でも、客足の絶えない人気の宿です。

「まずは昼食を」ということで供されたのが蕎麦。魚沼地方を中心に郷土料理として知られる“へぎ蕎麦”とは少し見た目が異なるものの、聞けばつなぎに布海苔が使用されているとのこと。

海藻を使った蕎麦ならではのつるつる、シコシコした独特の食感と喉ごしが実に軽やかで美味。あっさりとした蕎麦をサクサクとした食感の天ぷらといただけば、まさにバランスの妙。あっという間にたいらげてしまいました。

冒頭でも触れた通り、田上町は竹林が多い“竹の里”。名産品である竹を活かしたさまざまな町おこしに取り組んでいるそうで、こちらのホテルでも“バンブールーム”と呼ばれる特別室があります。

部屋に足を踏み入れると、室内のインテリアはもちろん、窓の外に広がる竹をモチーフにした数々のオブジェに圧倒されます。夜にはライトアップされ、部屋や備え付けの風呂からも幻想的な光景を楽しめます。人気ナンバーワンの客室というのも納得です。
竹の美しさにしばし見とれていると、馬場さんが「夕食後に、田上の竹の魅力をさらに知っていただける場所にご案内します」と一言。これは楽しみです!
その夕食までのひとときは湯田上温泉の町並みを散策することにしました。

江戸期から昭和中期にかけて「薬師の湯」として湯治客が絶えなかった湯田上温泉。そんな旧温泉街を偲びつつ、名所を散策します。この場所は親鸞聖人ゆかりの場所でもあり、越後七不思議の一つとされる了玄寺の「田上のつなぎがや」など逸話も豊富。歴史好きにはたまりません。

ひとしきり散策を楽しんでいるうちに、あっという間に陽が落ちて夕食の時間に。今宵の食事は「ホテル小柳」の、田上町や日本海など山海の幸をふんだんに使った会席料理です。

新潟と言えばまずは日本酒。長岡市の蔵元が醸す「越後 千万石」で喉を潤しつつ、目の前に並べられた料理を箸でつつきます。
料理の腕を奮うのは、料理長・上田剛史さん。田上町のみならず、近隣の日本海や佐渡でとれた食材を使った料理はシンプルながらいずれも滋味深く、素材の力を存分に引き出しています。
考えてみれば、ここ田上からは日本海も至近の距離。まさに海と山の幸のいいとこ取りです。

〆を飾るのは、やはり田上産コシヒカリ。土鍋で炊き上げられた銀シャリは香ばしく、口に含めばほどよい粘りと甘みが広がり、まさに“口福”。米処・魚処である越後の美味を心ゆくまで堪能しました。