三重・四日市のB級グルメ「四日市とんてき」とは何か? 現地で食べたら最高に旨かった!

三重・四日市のB級グルメ「四日市とんてき」とは何か? 現地で食べたら最高に旨かった!
食楽web

●調査内容:三重県四日市市に根付くソウルフード「四日市とんてき」の味と、そのルーツに迫るべく現地に行って実食!

 食堂、居酒屋、中華料理店などで、たまに目にする「とんてき(トンテキ)」というメニュー。厚切りの豚肉をグリルしたものでご飯のおかずとしてはもちろん、お酒にも合うパンチの効いたメニューです。

 他方、三重県四日市市では、ご当地B級グルメとして「四日市とんてき」なるものが親しまれていると聞きつけました。他のエリアにおける「とんてき」とは何が違うのでしょうか? 「これは現地で食べてみないことには始まらない!」と思い、三重・四日市まで訪れることにしました。

 実食したのは、四日市の御在所サービスエリアにある『とんとん食堂』。サービスエリア内のフードコートで手軽に本格的な「四日市とんてき」をいただけるのはかなりありがたいですが、実際に食べてみた感想を交えつつ、そのルーツに迫ってみます。

「四日市とんてき」の4つの定義

『とんとん食堂』の店頭に掲げられた「四日市とんてき協会」の会員証(食楽web)
『とんとん食堂』の店頭に掲げられた「四日市とんてき協会」の会員証(食楽web)

 まず、「四日市とんてき」には、以下の4つの定義があるようです。

(1)ソテーした厚切りの豚肉である
(2)黒っぽい色の味の濃いソースが絡められている
(3)にんにくが添えられている
(4)付け合わせは千切りキャベツが主である

 四日市では、この4つを全て満たさないと「とんてき」とは呼ばないとのこと。特に「黒っぽい色の味の濃いソース」は、他のエリアで言う「とんてき」と一線を画したこだわりのように思いました。

 また、この4つに加え「グローブ状」という一枚肉の片側がつながった、手のひらのような独特の形がみられるのも特徴である一方、短冊状・スティック状に切った「こま焼き」「こま切れ」といったものもあるようです。

眩くツヤを放つ「四日市とんてき」を実食!
眩くツヤを放つ「四日市とんてき」を実食!

 これらは四日市にある「四日市とんてき協会」のサイトからの情報ですが、この協会に加盟しているお店は地元・四日市だけでなく、三重県内や県外にも、この定義に沿った「四日市とんてき」を出すお店が複数あります。ちなみに今回実食した『とんとん食堂』もこの「四日市とんてき協会」の賛助会員のお店でした。

見た目よりも上品な口当たり! 三重県産の豚肉が美味すぎる!

『とんとん食堂」』の「とんてき定食」1550円
『とんとん食堂」』の「とんてき定食」1550円

 というわけで、さっそく『とんとん食堂』の「とんてき定食」をいただくことにしました。同店で提供する「とんてき」は、地元三重県産の豚肉を使用したもので、肉本来の柔らかくジューシーな味わいを強く感じました。これは確かにここ四日市でなければいただけない味です。

 さらに、前述の「黒っぽい色のソース」と「にんにく」が複雑な味を醸し出すわけですが、見た目ほどこってりしておらず、むしろ上品な口当たりに感じます。朝イチからのご飯でも気軽にいただけます。

パンチある見た目ですが、その味わいは意外と上品
パンチある見た目ですが、その味わいは意外と上品

 オーダー前は「1550円」という価格に少々おののく筆者でしたが、しかしこの味わいを体験すれば、むしろ納得。ご飯がサクサク進むのはもちろん、シャキシャキのキャベツとの相性も抜群で、忘れることができない味わいでした。

調査結果:今や全国に派生した「四日市とんてき」は、地元の中華料理店がルーツ!? 忘れられなくなる味わいは2000年代以降、全国に飛び火した!

全国に飛び火した「四日市とんてき」。でも、やっぱり地元・四日市で食べるのが一番かも?
全国に飛び火した「四日市とんてき」。でも、やっぱり地元・四日市で食べるのが一番かも?

 あまりの美味しさに、さらに「四日市とんてき」のことを知りたくなり、調べてみました。諸説あるようですが、一般に言われているその出自は第2次世界大戦後に遡るとのこと。

 四日市市内の、とある中華料理店で「看板メニュー」として登場したものが元祖だったようですが、当時はあくまでもこのお店の名物にすぎず、四日市全体に飛び火する今ほどの普及ではなかったそうです。

 そして何十年ものときを経た2005年。四日市の市職員の研修会で、「豚肉のステーキに光を当てよう」と、四日市大学の教授が発案したことがきっかけとなり「四日市とんてき」をご当地B級グルメとしてPRしていく動きが始まります。

 2008年には前述の「四日市とんてき協会」が設立され、「とんてきマップ」やマスコットキャラクターなどが登場するなど、本格的に広報活動が進み、「四日市とんてき」は地元のご当地B級グルメ」として定着するようになりました。今日では、そのあまりの美味しさから、「四日市とんてき」の定義に準じたメニューを出すお店が全国に派生するほどになりました。

 ただし、筆者個人としては、やはりその名物は、そのエリアでいただくのが一番だとも思います。是非とも三重・四日市で本場の「四日市とんてき」の味を堪能されてみてはいかがでしょうか。忘れられない味になることウケアイです!

(撮影・文◎加賀ま波・松田義人)

●SHOP INFO

店名:とんとん食堂

住:三重県四日市市山之一色町字乱取口1491-2 御在所サービスエリア
TEL:059-332-7111
営:8:00~22:00
休:なし