北京の王道朝ごはん! 豆乳と揚げパンのセット400円

目の前に出てきたのは、どんぶりいっぱいの豆乳と揚げたてのパン、そして日替わりの漬物。えーっと、豆乳はスープなの? ドリンクなの? そして漬物は箸休めなのか揚げパンにはさむのか? 初めてのものに、どうしたらいいのかわかんない!
「パンはそのままでも、豆乳につけて食べてもいいんですよ。パンも、そのままの形で豆乳につける人もいれば、ちぎってつける人もいます。自分の食べたいように食べていただければ」。と話すのは、専務の多田さん。流暢な中国語で、お店のスタッフとコミュニケーションをとっていきます。

「豆乳と揚げパンは、北京の朝ごはんとしてはおなじみのものですね。北京の人は、豆乳に砂糖をレンゲ一杯ほど入れて味わいますが、砂糖の量は自分の好きな量でいいんですよ」。と多田さん。豆乳、甘くして飲むのか~、ってことは、スープ的ポジションじゃなくってドリンク的ポジションなのかな?
ちなみに揚げパンも豆乳も、卓上に出てきたときには味がついていない状態。素材そのままの素朴な味。豆乳はほんのりあったかいくらいの温度です。この日の日替わりの漬物は、青菜の漬物です。

今度は豆乳に揚げパンを浸して一口。別々で食べるよりも、より柔らかく優しくなった感じ。揚げパンがとってもエアリーなので、程よくしっとりします。これを北京の人は朝食べているんだ~。揚げパンだけれども、豆乳があることで消化に良さそうだし、時間がない時でもささっと食べられそうな気がします。しかも揚げパン、腹持ち良さそう。
より腹持ちが良くて、スープ感重視なら「豆腐脳」のDセット500円!

「シェフがね、こっちも味わうといいよって」と、持ってきたのは、豆腐脳+焼き餅or揚げパンのDセット500円。メニューを見ていた時から気になっていた「豆腐脳」。これって何? 「トウファオ、って発音に近いんですが、豆乳で作ったプリンのような豆腐で、その上に醤油ベースのあんかけがかかっているんですよ」と多田さん。具にはシイタケや卵、金針葉、上にパクチーがのっています。
レンゲですくってみると、とろとろのあんの下からつるっとした豆腐が。あんかけはホワイトペッパーが効いています。

ところで、どうして朝食メニューを始めることになったんですか?「朝食を始めたのはこの店がオープンしてから半年後ですね。中国の朝食(あさしょく)文化を日本に伝えたかったのが理由です」。ということは、自粛に関係なく、もう3年近く朝食を出し続けていることになります。
ちなみに朝食はセットの他に単品メニューも充実。なので、セットに水餃子3個240円や、自家製チャーシュー200円をプラスして注文する人も多いとのこと。豆腐脳も単品の場合350円。なので、豆乳と揚げパンのセットに、さらに豆腐脳を単品でプラスする、というのも良さそうです。

お店にいるスタッフさんたちはおそらく全員中国の人。なので、飛び交う会話は当然中国語。そして店に貼られたメニューも横に日本語訳がついているけれど中国語表記。漢字だけで想像するとどんな料理? と想像してしまうメニューも色々あります。
「夜は青唐辛子の玉子焼き700円や発酵白菜の豚肉炒め780円(夜は税別)がイチオシですね。いずれも小皿料理なので多くの種類を味わうことができますよ」と多田さん。ちなみにスタッフさんたちのイチオシは、「干し野菜と豚肉のせいろ蒸し」(1000円)と、「牛肉と大根の水餃子」(5個入り500円)とのこと。
シェフのチーさんは黒竜江省出身。なので中国料理の中でも東北料理が得意だそうです。「東北料理といえば餃子のイメージですね」と言うと「東北人は全員餃子が得意」と強めのニッコリ。イメージですね~、なんて軽く言って失礼しました!
庶民的な雰囲気と、飛び交う中国語、そして本場と同じ味付けの料理で、中国旅行気分になってしまう『老酒舗』。おそらく、遠くに聞こえる電車の音も、旅行気分をプラスしているんだろうなぁ。ガード下効果、いい感じに出ています。
テイクアウトで「鶏モモ肉の釜焼き弁当」「釜焼き豚チャーシュー弁当」など5種類のお弁当を500円で販売しているので、時間がない時や混んでいるときは、持ち帰りにするのも良さそうです。アメ横や上野に用事があるときは、また食べにきたいなぁ。旅気分にちょっとだけ浸りたいときにもオススメですよ。
(取材・文◎いしざわりかこ)