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朝活、婚活、ソー活、妊活、終活……前代未聞の活動ブームの陰で、「から活(からあげ食べ歩き)」に余念がない、からあげのプロ=カラアゲニストたちがいることをご存知だろうか。これは、からあげの聖地・大分県中津市出身のライター松本壮平氏がお送りする、渾身のから活レポートである。
元祖イートインからあげは銀座にあり!?
飲食店での定番メニュー・からあげ。外食メニューとして登場したのは昭和7年ごろ、東京・銀座の「三笠會館」の前身「食堂・三笠」が最初だと言われています。営業不振を打開するため、当時の料理長が考案したのが始まりなのだとか。三笠會館では現在でも“伝統の味”として、からあげがメニューにしっかりと残っています。
今回は三笠會館1Fの「ラ ヴィオラ」へ。〈鶏の唐揚げ〉は5個で1,100円。骨なしムネ、骨付きモモ、手羽先の組み合わせです。骨付きと聞くと、食べにくいと思うかもしれません。しかし骨の中の髄液には、旨みやコラーゲンが含まれており、それがしみ出た肉はおいしさが増すのです。また骨の周囲は細胞が壊れにくいため水分を保持しやすく、骨なし肉よりもジューシーにでき上がるというメリットも。さすがイートインからあげの元祖、ポイントをおさえていますね。
からあげはひと口ガブリといくと、香ばしい風味が口の中に広がるのですが、それは“ほんのり”したものではなく、もっと強く、口の奥で唾液を呼び覚ますほどのもの。聞けば味付けにごま油を使用しているそうで、どうりでここまで香ばしいはずです。付け合わせにはレモン、マスタード、ごま塩。いずれも味のアクセントとしては“いい脇役”です。
ムネ肉はホクホク系。歯を立てるとサックリと噛み切れ、ちょっと驚くほどです。これほど柔らかいムネ肉にはそうそう出会えません。そして骨付きのモモ肉は、予想通り肉汁たっぷりのジューシー系。衣は厚すぎず薄すぎず、ちょうどいいあんばいです。余分な油を一切吸っておらず、不快感はゼロ。歯ざわりはカリッ!というアグレッシブ系ではなく、カラリッ!という、やさしく包み込む母性を感じさせるものでした。伝統を受け継ぐ、さすがのクオリティです。
ラ ヴィオラのからあげは、5個から持ち帰りも承っているとのこと。銀座の手土産のひとつとして、こちらのからあげは有力候補になるはずです。
●店舗情報
店名:「三笠會館・ラ ヴィオラ」
住:東京都中央区銀座5-5-17 三笠会館本店1F
TEL:03-3289-5673
営:月~金:11:30~22:30(ラストオーダー 22:00)、土・日・祝:11:00~22:00(ラストオーダー 21:30)
定休日:1月1日
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。