
渋くて、懐かしくて、どこかホッとできる。そんないい感じのお店でゆったりと酒と肴を味わいたい。仕事や人間関係で疲れている時は、ことさら強く感じますよね。
そんなお疲れモードの時に癒しの時間が過ごせるのは、東京浅草にある『赤垣』。創業はおよそ大正6年、3代目のマスターと4代目の息子さん、そして女将さんが切り盛りする、温かみのある雰囲気のお店です。

オープンは17時ですが、取材した日は開店とほぼ同時にカウンター席が満員に。いつもこんなにすぐ満席になるんですか? と聞くと「いえいえ。日によって違いますよ。大雨が降った後だと空いているし、今日何かあった? という日にいっぱいになったりするし」と女将さん。
ちなみに客層もバラバラで、カップルばかりという日もあれば、レディースデイ? と思えるほど女性ばかりだったり、反対に男性ばかり、という日もあるそう。なので混雑も客層もその日次第、なんだそうです。

長い間愛され続けている理由を女将に聞くと「そうですね、マスターの野球仲間や息子の学生時代の友達、娘の会社の人などが通ってくれることでしょうね」と女将。いやいや、知り合いだけじゃ毎日満席にならないと思います。謙遜しないで人気の理由を教えてください。
「某グルメサイトを見てくる方が一番多いですね。やはり時代ですね~。外国の方もサイトを見てやってきますよ。言葉は通じないけれど、画像を見せてくれて、これが欲しい、とかね」。
さすが日本を代表する観光地浅草。外国人のお客さんも多いようです。
「外国から来たお客さんも、隣の席の人が、どこから来たの? とか、何をしにきたの? など聞いているうちに会話が盛り上がったりしてね。いつの間にか友達になって楽しんでいますよ。だからうちは長居するお客さんが多いの。3時間ぐらいは居る人が多いですね」と女将さん。
一見さんはもちろん、言葉が通じない外国観光客も居心地がいい空間。長い間愛され続けている理由がまた見えてきました。
女将の出身地、秋田の地酒と「シメサバ」でまったりとした時間を

お店の一押しメニューを聞くと「シメサバですね」。酢締めがきつくないので、あっさりしていて、鯖の旨味が味わえるとのこと。
さらに、シメサバに合わせるお酒のオススメは?
「高清水の樽酒がオススメです」。とのことなので、こちらも合わせて注文です。

お酒のメニューを見ると、ビールやサワー、ウイスキーなどの他に、高清水だけで5種類! 高清水の樽酒、お燗向けの高清水、高清水純米、高清水の冷やし辛口各500円、瓶の生貯蔵酒750円。なぜ5種類も?
「私が秋田出身だからでしょうか。最初は1種類だけだったけれど、いつの間にか5種類になったんですよ」と女将。安くて美味しい、冷やしても温かくても美味しい、辛くもなく甘くもなく、ちょうどいい美味しさで料理にも合うそうです。
もちろん、新潟の「上善如水」(600円)や宮城の「浦霞」(650円)、高知の「酔鯨」(650円)など、秋田以外の冷酒も楽しめます。

ちなみに、「シメサバ」の次に人気なのは「クジラの刺身」(1人前850円)。メニューを見て「クジラ、あるんですか~!」と注文される人も。「クジラの唐揚げ」(850円)も懐かしさで注文する人が多いそうです。

オススメの過ごし方を聞くと、「気が向いたときに、1人でふらっとくるのがいいと思いますよ。お客様もほとんど1人の方が多いので、来たい時に来て、さっと飲んで帰られるのがいいと思いますね」とのこと。4人以上でいきなり行くと、入れない場合が多いので、行くときは1人か2人、あとは混雑状況の確認電話をするのがオススメです。
カウンターで知らない人と肩を並べて飲んでいるうちに、自然と会話が弾み、美味しいお酒と肴、そして女将のさりげない気配りであったか~い気持ちになれる『赤垣』。もっと通って常連になりたい! という気持ちになれる、居心地のいいお店でした。
●SHOP INFO

店名:赤垣
住:東京都台東区浅草1-23-3
TEL:03-3844-2327
営:17:00~大体22:30(LO大体22:00)
休:水曜(1、8月は不定で水・木連休あり)