土用の丑の日といえば、うなぎですよね。毎年のように不漁が叫ばれているうなぎですが、皆さんは、口にすることができましたか?
ご存知のように、土用の丑の日は、江戸時代に売上不振のうなぎ屋が、平賀源内の発案で店頭に「本日、土用の丑の日」という貼り紙をしたら大繁盛したとか、大伴家持の和歌に由来する…など諸説ありますが、いずれにせよ、この日に「う」のつくものを食べると夏バテしない、という言い伝えは昔からあったようです。
「う」の付くもの、ということは、別に牛を食べてもいいわけですよね? そんなわけで筆者が向かったのは浅草の『レストランちんや亭』。明治13年創業の老舗すき焼き店『ちんや』の姉妹店で、8月の毎週土曜日を“土曜の牛の日”として、1日14食限定でうな重ならぬ『うし重』(2,800円)を提供しているのです。江戸の下町っぽい、なんとも粋なネーミング。姉妹店の『ちんや』は“適サシ宣言(適サシ肉=赤身とサシが適度に混じった美味しい肉のこと)”で話題になったお店で、このうし重も適サシ肉を使ったものです。
うな重のようにフタ付き重箱で出てきたうし重。味噌汁に奈良漬けもついて、気分が盛り上がります。フタをとると、きれいに敷き詰められた適サシ肉のサーロインが3枚も!すき焼きと同じように割下で煮て、ごはんにのせています。フワッとしたやさしい口当たりの適サシ肉。噛み切らなくても軽く歯をあてただけで、そこからとろけていくような柔らかさです。
微かな甘みは割下ではなく、サシの甘み。肉の下にはシラタキとネギが。これがまたすき焼きっぽい。明らかに普通の牛丼とは違います。肉とごはんを交互に食べていき、1枚食べ終えてもまだ2枚あると思うと、そのボリューミーなビジュアルにテンションあがりまくりです。
このうし重、味わいも絶品ですが、食べ終えたときの充実感・満足感がハンパない! なんといっても肉の旨み、サシの甘みのバランスが絶妙のサーロイン。食べ進めるほどに、ふわとろな食感が幸福感を高めてくれます。今年の夏はとくに暑いので、夏バテに対抗する新しい“切り札”になるかもしれませんよ。
(取材・文◎松本壮平)
●SHOP INFO
店名:レストランちんや亭
住:東京都台東区浅草1-3-4ちんやビル1F
TEL:03-3841-0010
営:11:30~15:00(L.O.15:00)
休:火・水(浅草の催事日は営業)