エビのエキスが溢れ出す名物「エビフライ」

大ぶりのエビフライが3本に山盛りのタルタルソース。横にはサラダとマカロニが添えられています。揚げたてのエビフライを頬張ると、衣はサックサクでエビは“ぷりん”と弾み、びっくりするほどみずみずしい! 口の中に甘みと旨味が広がります。カラッと揚がっているのに、エビに火が通りすぎていない、食感のバランスが完璧です。
![衣の中で蒸すように仕上げる [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/11/20251202-koubaidainer05.jpg)
作り方の秘訣を聞いてみると、色が付きやすく香ばしさが出やすい甘いパン粉を使って低温で揚げているそうです。「低い温度で揚げると、エビのタンパク質がかたくならないんです。水分が飛ばず、噛んだときにエビのエキスがドバッと出るんです」と塩本さん。
タルタルソースはゆで卵がたっぷりで、もはや卵サラダのよう。これだけ惜しみなくかかっているのに塩気は控えめで、エビフライの美味しさをうまく引き出しています。
塩本さん曰く、添加物や化学調味料を極力控えて優しい味に仕上げるのがこだわりなのだとか。このタルタルソースのファンも多く、ネット販売は1〜2ヶ月待ちになるほどの人気です。
大笑いしながら、きっちり作る

「人類史上一番エビフライ作ってるんちゃう。200万本は揚げてるはず!」と大笑いする塩本さん。その陽気な口ぶりに反して、仕事は驚くほど緻密です。
「毎日同じエビが入るわけじゃないからどうしてもブレがある。うまいこと調整して、できるだけ同じ仕上がりになるように努力しています。どれだけちゃんとしたレシピがあっても、人が変われば味も変わるでしょ。だから、うちは全部自分一人で作ります」

食材の性質を理解し、火の入れ方を細かく計算。会計事務所時代に身につけた正確さとデータ感覚が、味づくりに生きています。「法律に沿ってきっちり仕事してたときと、結局同じことやってるやん!」とまたまた大笑い。
お店を営業していて大変なことはありましたか? と聞いてみると、
「ないなぁ。仕事してんのが楽しい。お客さんから『このエビフライ美味しいな。ほかにないわ』って言われるのが一番うれしい!」
その顔から楽しさが溢れ出ていて、こちらまでつられて笑顔になりました。

「洋食は呼吸。息するのに疲れへんやん」と話す塩本さん。”奇をてらわず、きっちりセオリー通り”をモットーに、緻密さと丁寧さを料理に注ぎ込み、祖父から受け継いだ思い出の味を今に伝えています。筆者にとっても忘れられない味になりました。
(撮影・文◎安達春香)
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復刻西洋食堂 紅梅ダイナー
住:大阪府大阪市北区紅梅町4-12
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