1日300個が売り切れる「ちまき」と台湾精進料理で体も心も整う沖縄『金壺食堂』の朝ごはん

1日300個が売り切れるちまきの魅力とは?

作るそばから飛ぶように売れていくちまき。ピーナッツが入ったものと入ってないものの2種類がある
作るそばから飛ぶように売れていくちまき。ピーナッツが入ったものと入ってないものの2種類がある

 店内でいただくなら、600円のバイキングと300円のちまきのセット注文がおすすめ。バイキングは常時10種類程度の菜食メニューとスープが食べ放題です。

 最初は味が薄いと感じる人もいるかもしれませんが、二口、三口と進むにつれ素材の滋味深さが体に沁み渡ります。

野菜、豆腐、海藻などを使ったバイキング。日替わりで提供される
野菜、豆腐、海藻などを使ったバイキング。日替わりで提供される

 昆布や椎茸の出汁が効いた野菜スープは、動物性のうま味が入っていないことに何の不足も感じません。

リラックス効果があるとされる金針菜入り。医食同源の調理法を母親から継承し、効能や彩りを考え台湾産にこだわる
リラックス効果があるとされる金針菜入り。医食同源の調理法を母親から継承し、効能や彩りを考え台湾産にこだわる

 大人気のちまきは1日300個作っても売り切れるほど。台湾から取り寄せる干し椎茸や大豆ミートがたっぷり入った大きなちまきです。

黒米入りのご飯からこぼれ落ちるほどに、具沢山のちまき
黒米入りのご飯からこぼれ落ちるほどに、具沢山のちまき

「笹の葉も台湾から(仕入れている)。台湾のものを使わないと、この味にならない」川上さんはそう言います。
 米を炊く、ピーナッツを蒸す、笹の葉をお湯で戻す、具材を調味する。仕込みから完成までに2日を要し、全ての工程は手作業で行われます。

中華鍋にたっぷりと仕込む具材。かなりの体力仕事だ
中華鍋にたっぷりと仕込む具材。かなりの体力仕事だ

「食べる人に笑顔になってもらいたい」
 川上さんが丁寧に食材と向き合う姿を見ていると、その想いがひしひしと伝わってきます。一つひとつの工程に込められた愛情が、言葉を超えて語りかけてくるようです。

包んだ後に味が染み込むことを計算し、ご飯の硬さや具材の味付けを調整。一つ一つ丁寧に包む[食楽web]
包んだ後に味が染み込むことを計算し、ご飯の硬さや具材の味付けを調整。一つ一つ丁寧に包む[食楽web]

 そして料理の味わいもさることながら、川上さんの温かな眼差しや口調も絶大な癒しポイント。初めての訪問でも、通い続けてきた友人のように優しく迎え入れてくれます。

「またここに帰って来たい。この味に癒されたい」そんな気持ちになれる朝ごはんを知ってしまったら「最終日は金壺食堂を目当てに那覇に泊まる」、それが沖縄旅の定番になること間違いナシでしょう。

●SHOP INFO
金壺食堂(きんつぼしょくどう)

住:沖縄県那覇市壺屋1-7-9
TEL:098-867-8607
営:8:00〜15:00(14:30LO)
休:木曜
※日曜はちまきのテイクアウト販売のみ(8時〜12時)

●著者プロフィール

玉城久美子(たまきくみこ)

1級フードアナリスト。沖縄県那覇市出身。「人と地域を食でつなぎ新たな価値を生む」をモットーに執筆や食文化講座を行うほか、食イベントの企画や販路拡大など、自治体や企業のマーケティング支援に携わる。