高品質な寿司がランチはほぼ半額!『SUSHI BANYA KAI 品川店』の「板前スクールランチ」が超人気のワケ

24歳の女性寿司職人・内藤さんの略歴とは?

この方が弱冠24歳の女性寿司職人・内藤恵理華さん
この方が弱冠24歳の女性寿司職人・内藤恵理華さん

「板前スクールランチ」を堪能し、その実力を舌で体験した筆者。改めてカウンターに目を向けると、今回の握りを担当した職人に驚かされました。なぜなら、とても若い女性だったからです。高級寿司店というと、どうしても風格のある男性職人というイメージがあります。興味を惹かれた筆者は、その寿司職人にお話を聞いてみることにしました。

 今回カウンターに立っていたのは、24歳の寿司職人・内藤恵理華さん。真面目な視線と素晴らしい手捌きから、一瞬声をかけることを躊躇しましたが、話しかけると、20代らしい明るい笑顔で答えてくれました。

「もともと、大学時代にアルバイトをしていたフレンチレストランに就職したのですが、コロナ禍の影響で転職を余儀なくされました。その店で『パンの面白さ』にも興味を持ったので、パン屋に転職。そのパン作りも面白かったのですが、うまく焼き上げられるようになると、さらに欲が出てきまして(笑)。パンも大好きだけど、一番好きなお寿司を自分で握れるようになりたい! と思い、『SUSHI BANYA KAI』に入らせてもらいました」(内藤さん)

 “女性寿司職人”というだけでも珍しいのに、ましてや24歳という若さ。臆するところはなかったのでしょうか?

「これやってみたい! と思ったらすぐ飛び込む性格なので、不安はありませんでした。ただ、ここに入る前に別のお寿司屋さんも訪ねたんですが、『女性は雇ったことがないから無理!』と断られることが多く、その点では少し苦労しましたね。しかし、『SUSHI BANYA KAI』は性別も国籍も関係なく採用していると聞き、安心して入りました」(内藤さん)

小さな体で包丁を操る姿はすでに立派な寿司職人
小さな体で包丁を操る姿はすでに立派な寿司職人

 従来の寿司職人修業というと、「シャリ炊き3年、あわせ5年、握り一生」とも言われ、そう簡単に寿司を握らせてもらえないイメージがありますが、『SUSHI BANYA KAI』が実施する「板前オープンスクール」では、入ってすぐに魚の身おろしを実践させてもらえるといいます。

 実際、内藤さんは『SUSHI BANYA KAI』に入ってまだ1年未満。それでもカウンターに立ち立派な寿司をにぎり、提供しているわけですから、ある意味、ものすごい“時短”が叶っているということになります。

「当初は、特に“所作”に対してすごく注意されました。包丁を置く時も雑に置くのではなく、綺麗に拭いて丁寧に置くとか、箸も綺麗に戻すとか、細かい所作への気配りは他の飲食とは違うなと思いました。

 また、技術的には“シャリを握る”というのはかなり難しく、最初の頃は自分で練習しても正解がわからず、シャリの高さも大きさも統一できませんでした。なので、まず“手ばかりで10g握れること”を目標にがんばりました。それができるようになったら、握ったシャリの中に空気を入れるという訓練を続けました。

 男性の先輩が教えてくださるのですが、手の大きさも指の長さも違うため、真似してみても同じようにはなりません。そこは自分自身の手の大きさを鑑みて工夫しながら覚えていった、という感じですね」(内藤さん)

将来はフランスで「寿司+野菜」の店をやりたい!

 内藤さんに「どのネタが一番好きか?」と聞いてみると、意外な答えがかえってきました。

「一つだけ食べたいというわけではなく、いろんな種類のネタが好きです。一度にさまざまな魚が味わえるのもお寿司の醍醐味だと思っています。趣味でダイビングをやっているのですが、たくさんの魚を見て感じる“一つの魚だけをとる”というのは生態系のバランスを崩すことにもつながりかねません。なので少しずつ魚をとり、それをお寿司にし、皆様に味わっていただきたいと思っています」(内藤さん)

 24歳という若い女性から、これだけ立派な回答を受け、かえってたじろぐ筆者でしたが、将来の夢も聞いてみました。

「自分で納得できるところまでやってみて、最終的にはフランスに行ってお寿司屋さんを出してみたいです。日本は海の恵みが豊富にありますけど、フランスは農業が盛んです。日本とフランスの自然の恵みの共通点を活かして、魚だけでなく野菜も取り入れたお寿司屋さんができれば良いなと思っています。プライベートではワインも好きですので(笑)」(内藤さん)

IT、AIにはできない「職人技」で世界を目指す

『SUSHI BANYA KAI』を運営する大東企業の廣瀬進さん
『SUSHI BANYA KAI』を運営する大東企業の廣瀬進さん

「板前スクールランチ」と聞くと、どことなく修業中の美容師のモニターカットのようなイメージがありましたが、『SUSHI BANYA KAI』は、あくまでも「経験年数が浅い」というだけで、ベテラン職人と遜色ない味わいを楽しむことができました。

 最後にこの画期的な取り組みについて、同ブランドを運営する大東企業の廣瀬進さんにも話を聞いてみました。

「うちの『板前オープンスクール』は、未経験の方でも入社していただき、板前修業をして成長してもらうという取り組みです。個人差があるため、ステップアップの流れには個人差がありますが、未経験でも初任給約30万円で、“寿司の技”を習得することができます。

『板前オープンスクール』を目指して入社した人は、パン職人だった内藤以外にも、イタリアンやフレンチの経験者や、飲食とは関係ない水道工をしていた人、IT関係の会社に勤めていた人もいます。こういった人たちは皆さん、“職人のスキルを得たい”と言います。あらゆる職業がIT、AIに置き変わっていく中で、“職人のスキル”はAIでは実現できないわけで、そこに魅力を感じてくれているようです。

 当社では、和食ブランドとしては『SUSHI BANYA KAI』を含む7ブランドを運営しています今後も、人材を育成し職人の技術を継承し続けていきたいですね。内藤はもちろん、他にもスクール生が寿司を握っています。ぜひお店にお越しいただき、温かい目で応援していただけるとありがたいです」(廣瀬さん)

まとめ

『SUSHI BANYA KAI』品川店で「板前スクールランチ」をぜひ一度!
『SUSHI BANYA KAI』品川店で「板前スクールランチ」をぜひ一度!

 “寿司屋”と言うと、あらゆる飲食業の中でも「敷居が高い」筆頭だと思っていましたが、今回お話しした24歳の寿司職人・内藤さんの経緯とその味、そして廣瀬さんの話から、新しいフェーズに突入しているようにも感じました。

 ぜひ一度『SUSHI BANYA KAI』で「板前スクールランチ」を食べてみてはいかがでしょうか。修業中とは思えぬ繊細な味わいに、寿司の新しい可能性を感じることができると思います。

(取材・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:SUSHI BANYA KAI 品川店

住:東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー 1F
TEL:03-6717-6251
営:11:30~14:30(L.O.13:00)、17:00~22:30(L.O.21:00)
休:不定休