耳からかじりたい「うさぎ食パン」。新高円寺の新名物を作ったパン職人がスゴイ!

15種類もの小麦粉を使い分けるパン職人

「しっとりクロワッサン」160円は、東山さんイチオシのパン。
「しっとりクロワッサン」160円は、東山さんイチオシのパン。

 ちなみに、「うさぎ食パン」は、トーストの上にトッピングするもので絵が描けたら楽しいな、というだけの発想で作った、という。しかし、この可愛さだけではなく、リピーターが多いのは、もっと深い理由があるハズだ。

 滞在中にも、「うさぎ食パン」の整理券を求めに来るお客さんが絶えないが、その一方で、食パンやバケット、クロワッサンも次々と売れている。

「うちのパンは、パン生地に特徴があるんですよ。個人店の割には全部で15種類の小麦粉を使っているので、珍しいと思います。理由は、1つ1つのパンに目指す生地があるので、小麦粉を変えて、食感や香ばしさ、甘みなどの違いを楽しんで欲しいからなんです。うさぎ食パンは、そのまま食べてもいいのですが、軽くトーストすると、甘い香りが引き立ちます。特にパンの耳の香ばしさがいいとよく言われますね」

 食パンにも種類があり、「自然派食パン」は北海道の“ゆめちから”を100%使用。種子島産のきび砂糖、瀬戸内の粗塩、オーガニックのショートニングを使って、低アレルゲンかつ、飽きのこないあっさり感と、もっちり感を目指したのだそうだ。また、「うさぎ食パン」や「ロイヤル食パン」は、海外産の小麦粉に、生クリームやバターをふんだんに練り込み、パンの甘みを引き出して、リッチな味わいを感じて欲しいとのこと。

上の「自然派食パン」1斤270円は乳製品を使っていない。下は、「ロイヤル食パン」1斤300円。
上の「自然派食パン」1斤270円は乳製品を使っていない。下は、「ロイヤル食パン」1斤300円。

「バゲットはオーガニックの小麦粉と、群馬県産小麦粉、さらに北海道産の石臼挽粉を混ぜて、やや重めのもっちり生地を。また、クロワッサンには、周りのサクサク感を出しつつ、しっとり感も出したい。そこで、国産発酵バターを贅沢に使い、さらに香ばしさも出すために、国産全粒粉をちょっぴり混ぜ込んでいるんです」

バゲット1本220円。こちらのバゲットはやや重めでもっちりとした食感。皮はパリパリで香ばしい。
バゲット1本220円。こちらのバゲットはやや重めでもっちりとした食感。皮はパリパリで香ばしい。

「また、和菓子系のパンも面白いんですよ。というのも、和菓子は、ほとんど小麦粉を使いません。だから、どうやってパンにするのか、親父と一緒に試行錯誤するのが楽しいんです」

 例えば、特製の“福豆うさぎ”は、甘塩仕立ての赤エンドウ豆を使うので、和菓子のお餅のようなもちもちした生地が理想だった。そこで、国産小麦粉に“餅粉”を少量加え、さらにカメリヤ粉も加えている。
「カメリヤは味があっさりしていて、膨らみがいいんです。だからふっくらしつつ、餅粉の粘るようなもちもち感を出せました」

「兎座特製福豆うさぎ」130円
「兎座特製福豆うさぎ」130円

「秋の限定商品“一つぶ栗”は渋皮つきの栗を丸ごと使う小さなパンですが、この生地はいろいろ試した結果、フランスパンと同一の生地がぴったり合ったんです」

「一つぶ栗」は、見た目は小さな和風アンパンのよう。いただくと、ごく薄い生地に包まれた栗で、パン生地が邪魔をせずよく馴染み、まるでフランス菓子のマロングラッセを食べたような軽さがある。これはワインにも合いそう!

「一つぶ栗」130円
「一つぶ栗」130円

 お話を聞けば聞くほど、欲しいパンが山ほど出てくる。あれもこれもと買っているうちにふと気づいた。「うさぎ食パン」の整理券をもらうのを忘れた。うっかりしていた!が、それは次回にして、オススメのクロワッサンとバゲット、さらに「食パン」をゲット。家に帰って、それぞれの小麦粉の違いを味わうのが楽しみである。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

ベーカリー兎座LEPUS

店名:ベーカリー兎座LEPUS

住:東京都杉並区梅里1丁目15-13
TEL:03-6383-2590
営:10:00~19:00
※ウサギ食パンは10時、11時、15時、17時に焼き上がる。
休:月・火