甲子園開幕! 観戦ついでに立ち寄りたい、神戸の絶品「中華カレー」とは?

黄色いカレーがヤミツキになる謎

甲子園開幕! 観戦ついでに立ち寄りたい、神戸の絶品「中華カレー」とは?
中華カレー650円。創業当時からあるメニュー。

 まずは、件の「中華カレー」から。

 初めて見る人は驚くであろう。この黄色さ。また、豚肉、玉ネギ、ジャガイモなど具材がはっきり見てとれる。昨今、フォトジェニックなスパイシーカレーが巷に溢れているなか、これほどまでにレトロなルックスは、2~3周まわって新鮮すぎる!

 味はというと、つべこべ言うより「素直なカレー味」というのが1番ふさわしい。「子供の頃に食べたような」といえば懐かしさは伝わると思うが、甘口の子どもカレーとはまったく違う。けっこう辛い。カレーの香りが優しくて、甘い玉ネギ、ほっくりしたジャガイモ、柔らかくて大きな豚肉。こんなカレーを楽しみにしていたな、という記憶が蘇るのだ。そしてなによりクセになる。1日に平均して100食、多い時で200食。常連さんを含め、お客さんの6~7割がこれを食べるというのだからそのヤミツキ具合がわかるだろう。

 このカレーの美味しさの秘密を先に明かしておこう。
 二代目の店主・藤原良明さんに聞くと、最大のポイントは、「煮込まない、炒めるカレー」だというのである。

「中華鍋で、肉や野菜、カレー粉を高温で一気に炒め、そこに中華スープを入れて、最後に片栗粉でとろみをつけるという、昔ながらの作り方です。いろんなものを足し合わせていないから複雑な味ではなく、また、高温で炒めているからカレー粉のスパイスがより香り立つんです。旨みはというと、丁寧にとっている伝統の中華スープだと思いますよ」(藤原さん)

 ちなみに神戸グルメには洋食文化の影響が大きいことは周知の事実だが、こうした大衆中華屋でも昔からリーズナブルに食べられるようにと、カレーライスやオムライスといった洋食を出す店が少なくなかった。香美園のカレーは創業当時からレシピを変えず、いまや神戸イチといっていいほどの人気中華カレーとなったのだ。
「夏はウチのカレーを食べて汗をかきたいというお客さんが多いんですよ」と藤原さん。やっぱり、ね。