フライチキンバスケットの元祖は、浅草にあり。|『銀座ブラジル・浅草店』元祖フライチキンバスケット【「から活」日記14】

フライチキンバスケットの元祖は、浅草にあり。|『銀座ブラジル・浅草店』元祖フライチキンバスケット【「から活」日記14】

食楽web

朝活、婚活、ソー活、妊活、終活……前代未聞の活動ブームの陰で、「から活(からあげ食べ歩き)」に余念がない、からあげのプロ=カラアゲニストたちがいることをご存知だろうか。これは、からあげの聖地・大分県中津市出身のライター松本壮平氏がお送りする、渾身のから活レポートである。

味わったことのない柔らかさのフライチキン

 浅草・新仲見世商店街のビルの2階にある「銀座ブラジル・浅草店」。戦後、銀座でオープンし、昭和39年の東京オリンピック以前には浅草に移転してきたという、昭和レトロの雰囲気漂う喫茶店です。

 名物は〈元祖フライチキンバスケット〉と〈元祖ロースカツサンド〉。いずれも1,000円。今ではすっかりおなじみのチキンバスケットの元祖または発祥とされるお店はいくつかありますが、ここはその1つだそう。開店当時の店主がアメリカで見た食べ物を日本風にアレンジしたのだとか。

 元祖フライチキンバスケットは、衣にパン粉をまぶして揚げたささみのフライ。「なんだ、チキンカツじゃん!」というツッコミはさておき、大きめのフライチキンが4個、フライドポテトに厚切りトースト、玉ねぎと人参のピクルスも一緒にバスケットに盛り付けられています。

 フォークはなし。かわりに店員さんがたくさんの紙ナプキンを持ってきてくれます。手で食べるってことですね。さっそくフライチキンをひとつ。噛んだときの音が実に爽快。「カリッ」ではなく、かと言って「シャリッ」でもないような……。でもどこかで聞いたことのある、懐かしくそして美しい音。何度も噛んでみるうちに思い出した! 雪の日、ザラメ状の雪を手ですくったときのような音。雪があまり降らない九州出身の私だけが懐かしさを覚えるのかもしれませんが……。

 レモンと塩をつけて食べるようですが、私はあえて何もつけずそのまま。ささみの柔らかさがハンパない。これまでチキンカツと呼ばれるものを相当食べてきましたが、ここまで肉が柔らかいものは初めて。しかも肉汁もじんわり出てきて、旨味も十分。何もつけなくて正解でした。

 ところでこちらの店名。銀座時代はブラジルのコーヒー豆を販売していたのだとか。それが浅草に移ってこの店名になったのでしょう。銀座、ブラジル、浅草……。地名が3つも入った不思議なお店です。ちなみに1階はシカゴ靴店です。

●SHOP INFO

店名:銀座ブラジル・浅草店

住:東京都台東区浅草1-28-2-2F
TEL:03-3841-1473
営:9:00~17:30
休:水曜

●著者プロフィール

松本壮平

ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。