
軽井沢駅から車で約40分ほど、豊かな自然と澄んだ空気に包まれた東御市があります。この地には、たった4名の作り手で年間約40トンものチーズを生み出す工房があります。それが『アトリエ・ド・フロマージュ』です。
決して大きいとは言えない工房から生まれるチーズは、本場フランスをはじめ、国内外のコンテストで受賞し、日本のチーズ界を支える存在として注目を集めています。

国内外のコンクールで数々の受賞歴を持つ熟成責任者・塩川和史さんを筆頭に4名 の職人で作っています。世界最高峰のチーズコンテスト「モンディアル・デュ・フロマージュ」にて、塩川さんが 作ったブルーチーズが最高賞を受賞したことを皮切りに、国内外で様々な賞を受賞。日本の チーズ文化を世界に押し上げてきた人物です。
牛乳1Lから生まれる100gのチーズ

「硬いチーズだと、牛乳1リットルから100g程度しかできません。モッツァレラのような柔らかいタイプでも12%ほど。チーズは牛乳を凝縮した食べ物なんです」(塩川さん、以下同)

塩川さんは、淡々と数字を交えながらチーズ作りの奥深さを語ります。現在、工房では15種類ほどのチーズを製造していて、日替わりでさまざまなチーズが生まれていきます。
この工房を支えるのは、塩川さんを含めわずか4人の職人たち。
「正直、人は足りません。倒れるんじゃないかと思うくらい大変ですが、みんな楽しんで作っています。その気持ちが良いチーズにつながっているんだと思います」と前向きに話します。
入手困難なほど人気。青カビチーズへの情熱
「実は、私は青カビチーズ以外にはあまり興味がないんです」と語る塩川さん。ブルーチーズ特有のクセがありながら、「日本人でも食べやすい味」の研究を重ね、フランスのコンペティションで金賞を受賞する存在に。

某航空会社のファーストクラスの機内誌にも掲載されるなど、現在では人気が高すぎて在庫が追い付かず、入手が難しい幻の一品です。
もしブルーチーズが手に入ったらやってもらいたい食べ方として、「これからの季節なら、お餅にブルーチーズをのせて醤油を一滴。すごく合いますよ」と、意外な提案! でも想像するだけで食欲をそそられますよね。
![アトリエ・ド・フロマージュのチーズはそれぞれにミルクの濃厚さがあり、発酵の具合や製造方法によって旨味や香りの違いを如実に感じることができます [食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/10/20251028fromarge06.jpg)
そして日本人に最も馴染みやすいのはモッツァレラ。熱を加えて作るため乳糖がほとんど残らず、牛乳でお腹を壊しやすい人でも安心して食べられるとのこと。むぎゅっと濃厚な味わいと食感で、他のモッツァレラチーズとは一線を画す味わいです。一度食べたらやみつきになりますよ。


塩気と白カビの香りのバランスが絶妙です。熟成が進むと中はとろけるようなクリーミーに。ハード系のパンやお好みのワインを用意して!


自然と人の手が紡ぐチーズ。その背景にある物語を知れば、味わいはさらに豊かに広がります。東御市にある本店の他、軽井沢駅近くにも店舗があります。また、遠方の方はお取り寄せを通じて、塩川さんたちの手仕事をぜひ感じてみてくださいね。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
●SHOP INFO
アトリエ・ド・フロマージュ
住:長野県東御市新張504-6
https://www.a-fromage.co.jp





