蕎麦前から〆の蕎麦まで手抜かりなしの旨さ

蕎麦前一品目は、砂場ゆずりの一品「あさり」。
あさりの出汁がしっかり出ていて、しみじみと美味しい一品ですが、実はこれ、水もお酒もみりんなどの調味料も一切使わず、醤油としょうがだけで炊いているそう。
あさりの実も美味しいですが、絶対残してほしくないのが汁。ちょっと行儀が悪いですが、器を持って汁をすすると、めっちゃ濃厚な味で、これだけでもお酒が進みます。

合わせるお酒は、福島の「廣戸川」。力強い口当たりで、あさりの旨みをしっかり受け止めてくれます。
もう一品、お酒のアテに最適なのが「クリームチーズの西京漬け」。クラッカーにのせて食べると……なんだろうこれ、もはや美味さしかない(笑)


チーズも味噌も、それなりにはクセというものがあるはずなんだけど、合わさることでまろやかになって、ただただ美味さの集合体になっている。これはお酒が止まりません。
「エビの天ぷら」は特上のブラックタイガーを使用しているそうで、お箸で持ち上げるとずっしりと重い。身が引き締まっていて、エビそのものの旨みが濃厚です。

珠玉の先をゆく絶品「ウニそば」

そして いよいよ〆の蕎麦。蕎麦は、主に埼玉県三芳産のものを、殻を抜いた“丸抜き”と呼ばれる状態で送ってもらい、店内の石臼で挽いているとのこと。蕎麦粉十割に小麦粉一割を足した、いわゆる「外一」。
今回頼んだのは、名物「ウニそば」。その時季に入る最高級のウニを、どっさりお蕎麦にのせた、贅沢すぎる一品です。
まずはウニだけ食べてみると、これがめちゃめちゃ甘みがあって新鮮。さらにウニを崩さないよう気をつけながら、おそばだけをひとすすり。ウニにも負けないくらい、キリッと爽やかで蕎麦の香りと甘みをしっかり感じる見事な味。

いよいよウニとおそばを一緒に一口。
これはもう珠玉の味。
日本蕎麦の食べ方の中でも、最高に贅沢で、本当に最高峰の味わいです!

そして、最後は贅沢にもおそばとウニをしっかり混ぜて食べてみる。
これはもうなんだ、“珠玉”の先ってなんだ?
至高?
究極?
国宝?
とにかくものすごい味です。
誤解を恐れずに言うならば、最高級のウニの寿司よりも、このウニそばのほうが美味しいかもしれない。そう思えるほど完璧な一杯です。

老舗出身の確かな腕と、新たな味への最高のセンスを感じる、西麻布の超名店です。
(撮影◎橋本真美)
●著者プロフィール
小宮山雄飛
ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンの傍ら、グルメ番長として食のシーンでも活躍し、様々な雑誌やWEBサイトでの連載、レシピ開発なども行う。著書には『旨い!家カレー』『レモンライス レシピ』『小宮山雄飛 今日もひとり酒場』など。テレビ、ラジオ番組などの出演も多数。






