
人形の街として知られる岩槻(埼玉県さいたま市)、江戸時代に「岩槻に過ぎたるものが二つある 児玉南柯と時の鐘」と詠まれた歌があります。
岩槻で有名なものは児玉南柯(江戸時代の教育者・儒学者)と時の鐘である――と詠ったものです。大正時代の末期、その岩槻の“時の鐘”を型取った和菓子、岩槻最初の銘菓「時乃鐘最中」が誕生しました。

この「時乃鐘最中」を製造・販売しているのが、『時乃鐘田中屋』です。東武アーバンパークライン岩槻駅から徒歩約7分、国道122号線沿いに、「時乃鐘最中」の看板が見えてきます。明治35年創業、地域で長く愛されている老舗和菓子店です。
歴史と伝統の岩槻銘菓「時乃鐘最中」

お店の中に入ると、店内には銘菓「時乃鐘最中」を初め、多くの種類の和菓子が所狭しと並べられています。

程良い大きさの釣り鐘型の皮(種)にずっしりとした餡、最中の皮(種)に収まり切れないほどの餡が、この「時乃鐘最中」の特徴です。なんとこの最中、お皿の上で立つんです!

餡はあっさりした上品な甘さで、サクッとした薄皮に挟まれ、絶妙な味のバランスです。味は、小豆餡、白餡、柚子餡の3種類あり、厳選された小豆、大福豆、柚子皮などを使い、伝統の味を伝えています。

平成5年5月、平成天皇、皇后両陛下(現 明仁上皇、美智子上皇后)が、岩槻にあった小児医療センターをご訪問された際に、この最中は岩槻を代表する銘菓として献上されました。
人形の街にちなんだ「雛の月」もおすすめ

このほか、“人形の街・岩槻”にちなんだ代表的なお菓子として「雛の月」があります。
ふんわりカステラに、ほど良い甘さのカスタードクリームがサンドされた一品。これも誰からでも喜ばれ、リピートしたくなるお菓子です。カスタード味とチョコレート味の2種類があります。
季節に合わせた和菓子として、春は、桜餅,草餅,どら焼き、 夏は、水羊かん,水まんじゅう,くず餅,わらび餅,くずバー,芋羊かんなど豊富に取り揃えてあります。
歴史と伝統の街・岩槻の銘菓「時乃鐘最中」、老若男女問わず、多くの人に親しまれています。お祝い返しや引き出物として、また さいたま市ふるさと納税返礼品にも選ばれています。ぜひ一度味わってみてください。
●SHOP INFO
時乃鐘田中屋
住:さいたま市岩槻区本町3-16-10
TEL:048-756-0250
営:9:00〜18:30
休:水曜(不定休日あり)
●著者プロフィール
佐伯 洋二(さえき ようじ)
福岡県生まれ、現在 埼玉県在住。1級フードアナリスト、地方創生食文化大使。食品会社の中央研究所で機能性食品の開発に取り組んだ後、現在は大学の講師として機能性食品学などを教えている。