村嶋饅頭店で食べたい秋の和菓子

篠栗町の住宅街に佇む『村嶋饅頭店』が創業したのは、昭和初期。現在は四代目がその味と営みを受け継いでいます。
地元の人なら誰もが知る存在で、昔ながらの親しみやすい雰囲気。ガラスケースに並ぶ和菓子や、季節ごとの手書きメニューからは、飾らない温かさと日常へのなじみやすさが感じられます。
篠栗の秋を感じる「米の山」

秋になると登場する「米の山」(270円)は、地元の山の名を冠した、季節限定の大福。
抹茶入りのやわらかな求肥で、香ばしいきな粉と、優しい甘みのこしあん、真ん中に一粒の栗をふんわりと包んでいます。口に運べば、しっとりとした求肥の食感とともに、栗の存在感がふわりと広がる、秋ならではの味わい。

この風景にちなんで名づけられた和菓子「米の山」は、秋だけの特別な一品
「“栗”の字が入る町なので、栗のお菓子を作りたかった」と語る四代目が、人気の「いちご大福」に続く季節菓子として考案。素材の風味を生かした一品です。
見た目も味も愛らしい「栗もなかアイス」

ころんとした栗のかたちが目を引く「栗もなかアイス」も、町名に“栗”の字が入る篠栗らしい遊び心のある和菓子。
中に詰まっているのは、約半年かけて開発された、ミルクのコクと優しい甘みが広がるなめらかな栗アイス。
サクッと香ばしい最中の皮との相性も抜群で、ひと口ごとにほっとするような味わいが広がります。
篠栗という土地への想いと、職人たちの丁寧な仕事ぶりが詰まった、どこか懐かしくやさしい味わいの一品です。
そのほか、四季折々のお楽しみも

村嶋饅頭店では、「米の山」や「栗もなかアイス」に加え、季節に合わせてさまざまなお菓子が登場します。
冬から春にかけては毎年大人気の「いちご大福」、初夏には「うめ福」、夏の「篠栗祇園夏祭り」では家族や親戚が集まりで食べるのが定番の「がめの葉餅」など、訪れるたびに違った味わいと出合えるのも魅力です。

そして、店名の通り“まんじゅう”のラインナップも豊富。「みそ万十」「甘酒万十」「やぶれ万十」など、昔ながらの味わいを大切にしたまんじゅうは、毎日のおやつとして地元の方々に親しまれているものばかり。
派手さはなくとも、ふっくらとやわらかく、あんこの優しい甘みがじんわり広がる、素朴で飽きのこないおいしさです。

創業から80余年。地元の暮らしに寄り添い、今も変わらず手づくりの和菓子を届け続けている『村嶋饅頭店』。
お遍路の途中で立ち寄る旅人や、家族のおやつを買いに来る地元の方々にとって、和菓子を選ぶ時間そのものが楽しみになっています。
![店の前には「へんろ道」の看板も[食楽web]](https://cdn.asagei.com/syokuraku/uploads/2025/09/20251005-murashima09.jpg)
派手さはありませんが、日々の暮らしにすっとなじむ、やさしい甘さと手づくりの温もり。特別な日にも、ふだんのおやつにも。
これからもきっと、変わらない味とともに、地元の方や旅人に愛され続けていく和菓子屋さんです。
(撮影・文◎asako)
●DATA
村嶋饅頭店
住:福岡県糟屋郡篠栗町中央4丁目16-2
TEL:092-947-0203
営:9:00〜17:00
休:月曜、祝日の場合は翌日・年末年始
https://www.instagram.com/murashima_manjyuu/
●著者プロフィール
asako
福岡在住のWEBディレクター。フードアナリスト3級。大手グルメメディアでの店舗支援・情報発信の経験を活かし、1歳と5歳の子育てをしながら、地方創生食文化大使として福岡・佐賀の食の魅力や親子スポットをInstagramで気ままに紹介しています。
https://www.instagram.com/imasanok009/