
“ガチ中華”という言葉を世に広めた立役者として知られる『味坊集団』。中国東北地方の郷土料理を中心に、東京各地で店舗を展開し、本場志向の食通から熱い支持を集めています。羊肉串や餃子、火鍋といった料理を通じて、現地の食文化を丸ごと伝えるその存在は、いまや中華好きにとって欠かせない存在です。
その味坊の魅力を凝縮したテーマパーク的な店舗が、秋葉原にある『香福味坊』。朝7時から営業し、中国式の朝食「早点(ザオディエン)」を楽しめるのが大きな特徴です。
中国の朝食文化「早点」とは
中国では「早点」(ザオディエン)と呼ばれる朝食文化が根付いています。外食やテイクアウトが一般的で、出勤前や通学前に屋台や食堂に立ち寄るのは日常の風景です。
お粥や豆乳、揚げパン(油条)、小籠包や餃子といった点心など、地域ごとに多彩な朝食が揃います。広東では点心文化が発展し、テーブルを囲んで飲茶を楽しむスタイルが主流で、上海では小籠包や生煎饅頭、北京や東北地方では餃子や饅頭、お粥が朝の定番です。

店内に足を踏み入れると、出勤前の常連客がセルフサービスのお粥をよそっている姿がちらほら。日本の喫茶店や定食屋とはまったく違う空気感に、旅先の食堂に来たような気持ちになります。
朝食メニューは500円台からと手軽な価格設定ながら、点心や温菜が組み合わされ、バリエーション豊か。さらにお粥や豆乳、漬物、サラダはおかわり自由という太っ腹な内容です。

この日は、「Cセット」を注文。蒸篭で供されるえび蒸し餃子や肉焼売、雲吞スープに加え、釜炊き鴨やチャーシュー、腸詰め、目玉焼き、揚げパンまで並ぶ充実ぶり。思わず心が躍ります。

えび餃子はぷりぷりと弾けるような食感、焼売からはジューシーな肉汁がじわり。鴨や腸詰めはしっかりとした味わいで、お粥との相性も抜群です。

中国式のモーニング文化を東京で体験できる『香福味坊』。気分を変えたい日や元気になりたい日におすすめです。
(撮影・文◎蘭ハチコ)