【小宮山雄飛 蕎麦呑みの名店】最後の一滴まで飲み干したい。『東京 土山人』の冷かけすだち蕎麦

まずは1番人気の「だし巻き玉子」から味わう

「だし巻き玉子」関西風、関東風から選べる950円
「だし巻き玉子」関西風、関東風から選べる950円

 数ある蕎麦前の中から、絶対頼みたいのが、「だし巻き玉子」。もともと兵庫県・芦屋発祥のお店なので、だし巻きは東京に合わせた甘口の関東風に加えて、だしの味をしっかりきかせた関西風の2種類から選べます。

小宮山雄飛 お蕎麦を食べる 土山人

 関東風は東京の他のお店でもいただけるので、僕はたいてい関西風をチョイス。だしの風味をしっかりきかせて、ふっくらと焼かれた玉子焼きを口いっぱいに頬張れば、思わず笑みが溢れる美味しさ。

 内装もモダンでゆったりと料理を楽しめるこちらのお店では、お蕎麦屋さんには珍しいナチュールワインのボトルまで取り揃えています。

お店の雰囲気や料理にもナチュールワインがよく合う
お店の雰囲気や料理にもナチュールワインがよく合う

 おひとりの昼の蕎麦呑みで、さすがにボトルを開けるのもなんなので(笑)、白のグラスを。香りも爽やかなソーヴェニヨン・ブランが関西風の味付けの蕎麦前によく合います。

酒のアテに「からすみそば」もいい

「からすみそば」2,100円
「からすみそば」2,100円

 冷やしすだち蕎麦に行く前に、酒のアテにもなる冷たい「からすみそば」を注文。店内で石臼挽きした十割の蕎麦に、からすみの風味が見事にマッチして、実に贅沢な味。

小宮山雄飛さん お蕎麦を持ち上げている

 冬だったら、これをアテに熱燗でちびちびもいけそうですが、蕎麦は茹でたてが一番ですから、しっかり味わいつつもさくっと早めにいただきましょう。

お腹が満たされる名物の太巻き寿司

「太巻き寿司」半分1,080円(1本1,800円もあり)
「太巻き寿司」半分1,080円(1本1,800円もあり)

 丼などのいわゆるご飯ものはありませんが、「しっかりお腹を満たしてほしい」ということでメニューにあるのが、名物の「太巻き寿司」。厚焼き玉子、椎茸と干瓢の甘露煮、マグロ、うなぎの蒲焼きを巻いた贅沢な一品。

 一切れが、一口では食べきれないほどのサイズで、お酒を呑まない人も蕎麦にもう一品としてちょうどいい。半分と1本を選べますが、2人で半分でも十分なサイズ感です。

一度は食べたい看板メニュー「冷かけすだち蕎麦」

 締めはお待ちかねの、冷かけすだち蕎麦!
 何度見ても、器一面に敷き詰められた輪切りのすだちは圧巻。絞らず輪切りにしていることで、すだちの酸味より、香りが強く感じられます。

「冷かけすだち蕎麦」1,800円
「冷かけすだち蕎麦」1,800円
小宮山雄飛さん
食楽web

 こちらの特徴は、なんといっても関西風の冷かけつゆ。すっきり透明感のあるつゆは、昆布の出汁がきいていて塩味もしっかりあり、あっさりながらパンチのある味。

 そこにすだちの香りが合わさって、つゆだけでもゴクゴクと飲み干してしまいたくなる美味しさ。蕎麦、つゆ、蕎麦、つゆと食べすすんだら、途中で原了郭の黒七味を加えれば、さらに風味豊かになります。

小宮山雄飛さん お蕎麦を啜る

 蕎麦はもちろん、つゆも最後の一滴まで飲み干せば、爽やかな見た目とは裏腹に、しっかりと満足感を得られる一杯。

 目黒川のほとり、自然の光も入るオシャレな店内で、ちょっぴり優雅にお蕎麦を楽しめる名店です。

(文◎小宮山雄飛、撮影◎橋本 真美、構成◎編集部)

●SHOP INFO

東京 土山人

住:東京都目黒区青葉台3-19-8

TEL:03-6427-7759
営:11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:30〜22:00(21:30) ※夜のみ予約可
休:月・火曜(月1) ※9月より変更あり。詳細はInstagramをご確認ください。
@ tokyo_dosanjin

●著者プロフィール

小宮山雄飛
ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンの傍ら、グルメ番長として食のシーンでも活躍し、様々な雑誌やWEBサイトでの連載、レシピ開発なども行う。著書には『旨い!家カレー』『レモンライス レシピ』『小宮山雄飛 今日もひとり酒場』など。テレビ、ラジオ番組の出演なども多数。