イベントも終盤、いよいよ隠し酒が登場

「隠し酒を紹介しますね。こちらは『満寿泉(ますいずみ) 純米原酒 SUPECIAL 2016』と言って、富山県の桝田酒造店という蔵元のお酒です。ボルドー産白ワイン樽で1年ほど熟成させ、瓶詰めしてから今年まで寝ています。入口の香りは洋酒の様で、熟成純米酒らしい旨味と樽由来の淡い渋み、タンニンが絡まり味わいに深みが出ています」
確かに、鼻に抜ける風味、香りがウイスキーっぽいというか。料理もお酒によって、味わいが変わるのが楽しい。

「こちらは『飛鸞 絆』。長崎県平戸島、森酒造のお酒です。『飛鸞HIRAN』というお酒は各種スペックを公開していません。情報から先入観を持たずに飲んだまま感じてほしいという蔵の想いがありますから。とはいえこのタイミングでお出しするお酒なので、そりゃあハイスペックですよ(笑)。食中に向く品の良い甘味苦味もありながら、スラーッと飲んでいただけます」
最後の最後で、すっきりした余韻のお酒を持ってくるなんて流石の構成。と、感心しながら飲んでみる。すっきりしているとはいえ、もう一杯飲みたくなるお酒でもあるから、なかなか終われません。
結果、料理もお酒も心ゆくまで楽しんだ夜となりました。

特筆すべきは、佐藤さんが注目しているミード(蜂蜜酒)を味わえたこと。勧められなければ飲む機会のなかったお酒も、こういう場で経験できるのも楽しみのひとつです。
「養蜂家であり醸造家であるエリックさんのミードは、飲むと香りと多幸感が体に広がります。日本でこんなミードと出会えて嬉しい」と佐藤さん。
「何これ…、美味っしい!」と方々から聞こえてきます。
このイベント、グループで参加した方が様々なお酒と料理を楽しめていい。編集部で参加して正解。ひとりで参加していては、ここまで辿り着けなかったかもしれない。
次回の会は2025年2月22日(土)を予定しているそうです。2(ふー)2(ふー)2(ふー)で「おでんの日」らしいので「おでん」。今から楽しみです。
アフタートーク、『フォレストコーヒー』と『地酒や たけくま酒店』のおいしい関係

イベントの数日後、なぜコーヒーのお店がお寿司を握るようになったのか?、なぜ日本酒を出すようになったのか?そんな疑問を解決すべく、二人にお話を伺いました。
今宮さん:お客さまにお店に来て楽しんで、お腹いっぱいになって、おいしいと思って満足してもらえるように日々考えています。インパクトのある料理とは何か?カフェだからって洋食を突き詰めて、フォアグラやトリュフを出しても驚きはないですよね。出てこなさそうなものが出てきて、嬉しくて、お得感があるのが良い。そうしたらお寿司に辿り着いたんです。
飲むこと、食べること、お寿司を握ることの共通点は、ゴールまでの道のりが果てしないということ。旨味や感情に限界はないので、常にバージョンアップ、ブラッシュアップしていく必要があると考えています。
アルコールも最初はクラフトビール、そしてワイン、日本酒と出すようになったんです。日本酒は最初1本仕入れる程度だったのですが、佐藤くんが2本入れてみませんか?と提案してくれて。

佐藤さん:味の好みがあるので、2本はお店にあった方がいいですよ、と提案しました。そうすると実は日本酒好きな常連さんが結構いらっしゃったみたいで、「こんなのはないの?あんなのはないの?」と色々なご意見があったそうです。
それを聞きながら合いそうなお酒を2本ずつ提案していたら、突然マスターが「16本入る日本酒セラーを導入するから酒選んどいて」、と笑。これは楽しいことになる!と思って。それでいよいよお酒を仕入れてもらったのですが、ちゃんと回転するんですよね。そのおかげでお客さまの好みの傾向も見えてきました。
今はおおよそ3タイプに分かれると思っていて、それからはタイプに合わせた日本酒の相談をしてもらっています。そうすると、また常連さんから「もう少しこういうのがいい」とか「これが良かった」などフィードバックをいただいて。お客さまの顔も分かるので、近い距離で付き合わせていただいています。

今宮さん:日本酒はコーヒーと似ていて、ストーリーが重要だと思います。作り手の思いや、作られた地域の風土などもおいしい理由になります。休みの日には、地方の酒蔵やワイナリー、酒屋さんなどを訪ねて、話を聞いて仕入れたりもします。
目標は、他にはないことをやること。カテゴリーに囚われず、お客さんが心配するようなことをやっていきたいです笑。ラベルを貼らず、カテゴリーに囚われないことをやっていくのが面白い。お客さんも喜び、驚き、新しい発見になります。美味しいと楽しいを追求していけば何でもありです。
そんな中で思いついた事の一つが、たけくまさんとのイベントでした。「森(=フォレスト)のくま(=たけくま)さんプロジェクト」です。毎年の春、秋、冬とやっていてもう8回目です。
今回の一杯サービス企画の日本酒は…

佐藤さん:『フォレストコーヒー』さんの常連さんの日本酒の好みのタイプが3つあるといいましたが、例えばひとつは「寒菊 電照菊 山田錦50 純米大吟醸 無濾過生原酒」のように、フルーティーな芳醇旨口のお酒。日本酒の入門者から手練れまで人気の高い銘柄です。
もうひとつは、「櫛羅 純米80無濾過生原酒」。ほのかな香りでドライなお酒。米の旨味もありつつ、酸味とガス感があることでキリッとする絶妙な仕上がりです。
あとひとつは、いわゆる辛口で日本酒らしさを忘れさせない酒。それで今回、一杯サービス企画に良いと思って選んだのは「満寿泉 マス印 からくち」。普通酒です。富山のお酒ですが、最近仕入れている食材は北陸産が多いということだったので、同じ土地の水で醸したお酒を合わせるのもいいだろうと。地元で長く愛される、冷酒から燗酒まで、食事の最初から最後まで一緒に楽しめるお酒です。
まとめ
『地酒や たけくま酒店』と『フォレストコーヒー』のおいしい関係、いかがでしたでしょうか。引き続き、地域に根付いた酒屋と飲食店のおいしい関係を追いかけます。
次回はどんなお酒とどんな飲食店が登場するか?お楽しみに。
*みなさんの好きなお酒の銘柄を教えてください。好きなお酒の思い出、エピソードなどもあると思います。是非、『好きなお酒の銘柄』を下記のフォームにお寄せください。
●『好きなお酒の銘柄』書き込みフォーム
https://forms.gle/ayiCm2vadPRo9A4x9
無くなり次第終了!「満寿泉 マス印 からくち」一杯サービス企画
『フォレストコーヒー』のご協力のもと、お店で「食楽webのinstagram」をフォロー、フォローしている画面を見せると「満寿泉 マス印 からくち」一杯サービス!
無くなり次第終了です!
●SHOP INFO
フォレストコーヒー
住: 神奈川県川崎市中原区井田中ノ町33-1
tel:044-754-1156
https://www.instagram.com/forestcoffee_motosumi/?hl=ja
*営業時間などは店舗SNSでご確認ください
●SHOP INFO
地酒や たけくま酒店
本店
住:神奈川県川崎市幸区紺屋町92
TEL:044-522-0022
元住吉店
住:神奈川県川崎市中原区木月3丁目10-17
TEL:044789-5561
(企画・取材◎ヨネダ商店)