あの町の老舗『グリルABC』(大阪)が愛されるワケ。それはオムライスと中華そばの組み合わせにあった

素朴ながらも奥深い牛タン入り「オムライス」

「オムライス」700円
「オムライス」700円

 まず運ばれてきたのは、透き通るような薄焼き卵に包まれた「オムライス」。ケチャップもデミグラスソースもかかっていないシンプルな見た目。その分、ライスの味付けがしっかり濃いめで深みがあります。なにか秘密があるのかも……と気になって聞いてみると、「細かく切った牛タンが入ってるんです」とのこと。

グリンピースと牛タン入りのケチャップライス [食楽web]
グリンピースと牛タン入りのケチャップライス [食楽web]

 優しい卵の風味に甘酸っぱいケチャップ、豊かな旨味の牛タンが一体となって、唯一無二の味わいを生みだしています。

 じっくり堪能していると「タンシチューもおいしいですよ。分厚くてやわらかくて、噛まなくていいぐらいにトロトロしてて」。年配の女性店員さんが、にっこりしながらメニューを指差して教えてくれました。きっと、タンシチューに使わない部分をオムライスに入れているのでしょう。

 次は、絶対にタンシチューを注文しなければ。ずるすぎるプレゼンに再訪が確定しました。

懐かしい味わいの「中華そば」

「中華そば」500円
「中華そば」500円

 チャーシューとモヤシ、青ネギ、錦糸卵がのった昔ながらの「中華そば」。スープは鶏ガラベースの醤油味で、上品でありながら口いっぱいに旨味が広がります。チャーシューはしっかり歯応えがあるタイプ。脂身が少ない分あっさりしつつ、噛むほどに赤身の濃厚な味が溢れ出します。

飽きのこないあっさりさが魅力
飽きのこないあっさりさが魅力

 麺は優しいスープとよく馴染む、やわらかめでツルツルとした食感。コシが強い麺や豪華なトッピング、濃厚なスープのラーメンもいいけれど、ふと恋しくなるのはこういう味なのかもしれません。なんだか懐かしくてホッとする一杯でした。

何度も通いたくなる味

 お客さんたちが「おいしかったです。また来ます」と笑顔で話している姿が印象的でした。スペイン人カップルも「Delicious!Good!」とテンションが上がっている様子。次はタンシチューか、それとも日替わりランチにしようか。筆者もすっかり常連気分で、また来ますと宣言して店を後にしました。

(撮影・文◎安達春香)

●SHOP INFO
グリルABC

住:大阪府大阪市中央区内平野町3-2-14
TEL:06-6941-9015
営:11:00~14:30
休:土・日・祝日
https://www.instagram.com/abc1950.12.23/